二次創作小説

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霊夢に博麗を継がせたら無視されるようになった

第十五話 私はずっと貴女の

「暇ね」艶と薔薇色で出来た唇から、吐息の代わりにそんな文句が漏れる。一時の住み家と定めた太陽の畑。夏には背高の見事な向日葵が立ち上がって風に揺れそよぐその地は、しかし春を前にした今では草花の殆どが雪の底。辺りには動物のひしめきも聞きとれはす...
霊夢に博麗を継がせたら無視されるようになった

第十四話 恨まないで

緋色すら容れずにただひたすらに紅色。それこそくどいほどに紅く染まった館、紅魔館。美意識がそれこそ同族のものからすら離れているのは間違いない吸血鬼が住まう、窓一つなく閉塞的でもある館の深部。本に彩られ本で飾られた多数というだけである種の美すら...
霊夢に博麗を継がせたら無視されるようになった

第十三話 娘に遠慮しちゃ、ダメ

「寒い、な」一年の殆ど湿り気を帯びた空気に包まれている魔法の森とはいえども、枯れに親しむ時期もある。冬のからっ風には常緑樹ばかりのこの森林ですら痛むようになびいて、彼らが立てる音も寂しげだ。そして、何より天辺に凍えるような白を多分に乗っけて...
霊夢に博麗を継がせたら無視されるようになった

第十二話 拾い上げてもいい

幻想郷では最近、スペルカードルールというものを用いた弾幕ごっこが特に少女達に認知され、暗に広まりつつある。現在、空に理想の輝きを描くその血なまぐさくなくむしろ遊戯染みた決闘方法は、博麗の巫女に賢者達のお墨付きであることもあってか、特に力のな...
霊夢に博麗を継がせたら無視されるようになった

第十一話 だから、私は嘘をつく

そこは、空間を覆わんばかりに大体が竹に竹に竹に竹で出来ていた。まだ青いものや朽ちかけのもの、そして目印に難儀する程の似たような太い竹。そんなものばかりが植わって入れ替わり立ち替わり伸びているそこは、当然縦横無尽に地下茎が張り巡っていて、足下...
霊夢に博麗を継がせたら無視されるようになった

第十話 おっこっちゃう

「幻想郷史ではなく日本史か……原始の頃だと石器に、竪穴住居。古代で土器に古墳にヤマト王権で……ふむ。こうしてつらつらと並べていくのは問題ないか。いや、しかし目立つ事柄を集めたばかりが歴史ではないだろう。背景や文化なども確り記さねば……信憑性...
霊夢に博麗を継がせたら無視されるようになった

第九話 ラブアンドピース

霧の湖の畔、結界によって消しゴムのように印象無くした空白地帯に潜んでいるいち建築。先代、博麗慧音の手による封印結界の中に建つそれは、赤い壁面を更に赤い枠で覆い、隙間なくそれを並べて屋根や何やらで紅く飾った、そんな調和も何もなくどこまでも赤一...
霊夢に博麗を継がせたら無視されるようになった

第八話 才能は、ない

幻想郷唯一に近い森林地帯、魔法の森。ここは、高低疎らで密な樹木に凸凹した地面は人の出入りを拒絶し、またその名の由来となったまるで魔法にかかったかのような幻覚をもたらす茸の胞子が飛び交う、そんなジメジメ不快指数抜群の地だった。魔法の森には人は...
霊夢に博麗を継がせたら無視されるようになった

第七話 背中合わせ

博麗の巫女というのは、巫女として神社の世話をするだけが仕事ではない。最重要として博麗大結界――幻想郷の幻想性を保持する要となる境界――を維持する役目があり、また妖怪と人間の境が曖昧にならないように働くことだってあった。そして、それら全ての務...
霊夢に博麗を継がせたら無視されるようになった

第六話 きっと、朝は

先代の巫女である博麗慧音は、縁から繋がりしばしば永遠亭に訪れる招かれざる客である藤原妹紅を抜かすと、境界の妖怪以来となる八意永琳お手製の結界を見抜いて訪れた存在だった。つまり、彼女はまともな人間としてはじめて月の賢者の敷いた術式を破った程に...
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