うつくしさ極振りのアイドル生活

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うつくしさ極振りのアイドル生活

去話 終わりの音色

生きるということは、ただ意識があるだけの状態ではないと小さな頃の朝茶子は思っていた。 生は推移であり、変化と反復を交えた動きの総称だと幼き少女は考えていたのである。 つまるところ、朝茶子にとっては世界の多動が生々しいものに映るのだった。太陽...
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閑話 最強と

〇〇〇〇は目立つことが好きだ。それは、以前までそうあることが通常だったからだったかもしれない。 だが、荷物運びで際立つことに慣れて、そして駆けっこで一番を続けることにも飽いて、やがて彼女は当たり前の勝利をつまらなく思うようになる。 なにせ、...
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第十二話 たり前ですよぉ

今より十六年と少し前。町田家に、とある赤子が生まれた。性別は、女である。そして、何より彼女の属性は。 地獄だった。 その瞳は、窮まっている。腐りを過ぎて終わっていて、更には死んだ後の何かだった。そして、残酷にも、幸せな未来などそこには映って...
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第十一話 一人ぼっちは寂しぃ

あたしは片桐朝茶子。今日はお歌をうたうよ。 そう、さっきからあたしはなんだか趣味の入ってる狭いスポーツカーの車にゆうちゃん社長とまこさんと一緒に乗ってスタジオに向かってるんだ。 それも、歌を録音するために。いや、知らない間に作詞作曲してもら...
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第十話 哀れむな

「朝茶子様、おはようございます」 佐々木夕月にとって、朝に片桐朝茶子に挨拶をするのはとても大切なことである。 そもそも、人間関係に言葉をかけることは大事であるが、それより何より朝茶子は忘れっぽい。 少し気にしている程度の相手なんて翌日の記憶...
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第九話 好きですよ

あたしは片桐朝茶子。高校2年生の女の子だよ。 そんなあたしは朝早くからすいすいと車に乗っかったまま通学してる。学校向かうのは慣れたけれど、でも自分の足で通学出来ないってのは面白くないね。 まあ、お父さんお母さんの方針ってやつだからこれも仕方...
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第八話 地獄の蓋

「はぁ、めんどいですけど、仕方ないですねぇ」 日差しまだまだ暑いに足りない淡さの中。しかし天から降りてきたそれらが自分に沁みるのを嫌がる少女は、日傘を差す。 それがふりふり黒レースと白いラインに覆われているのは彼女の趣味だろうか。暗がりの衣...
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第七話 おばけ?

あたしは片桐朝茶子。実はジェンガが好きな女の子だよ。 あの積み木って、とっても楽しいよね。何しろ続ければ続けるほどどんどんもろく、スカスカになっていって、最後は崩れて台無しに。そんなのはとっても命に似ていて可愛いと思うんだ。 あたしは、一人...
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第六話 インプリンティング

水木巫女子は、自分を世界で一番キレイな存在になれると思っていた。そして、キレイであれば、何もかもを思い通りに出来る、と。 そんな勘違いをずっと続けていた少女だったのである。 巫女子は小さい頃からよく言われていた、可愛い子だ、という褒め言葉を...
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第五話 がんばってね

あたしは皆のアイドル、片桐朝茶子。あ、でもまだ誰にもアイドルっぽいところって見せてなかったかも。 ということは、まだ誰のアイドルでもないんだね、きっと。これから頑張らないと。せめて、一人くらいお友達作ることが出来るようになるまでは、ね。 「...
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