千里件の人間原理

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千里件の人間原理

第五話 これでもぉ?

この終末について、私の分かることはそう多くない。世界は存外軟体的で融通きくものあるが消費期限が過ぎ次第そのうち破け得ること。そして、その際に現れる罅は赤く、また終わる前頃に意味たちはそれを身体に写してからバラバラに落っこちていく、ということ...
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第四話 最後の友達

私は生じる前から存在していた観測点だ。意識というものなんて細胞分裂の最初以前からどこかに存在していて、それこそ妖怪変化すら『ゴミ捨て場』で看取った経験があるくらいだから数百年は昔から私というものはあったのかもしれない。正体とは観測に所以する...
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第三話 ありがとう

私はこの世に生じる前、ずっと『ゴミ捨て場』を眺めていた。始められたのは、ミノタウロスの伝説と多少の混合があった私は、迷宮の主としての権能だって僅かに持っていたからのことである。だが、それを続けたのは私の意志だ。おかげで捨てるべき何もかもにだ...
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第二話 牛の首

この世には昔『牛の首』という怪談があった。そして、それはもうない。何故なら、その怪談を聞いたもの全てがあまりの恐ろしさに直ぐ死んでしまうからだ。そして、私はそれそのもの。終わりと同義の存在だから、故に終末の今それを物語るために生まれてしまっ...
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第一話 件/天音

「……ほろ、ぶ……せ、かぃ」未熟にて生まれた私は、産声よりも先に必死になってこう伝えた。これで死んでしまっても本望だからと目も見えないままに発した私の『予言』は、しかし懸命に私を生かそうとする医療現場の人間たちの騒々しさにかき消されてしまう...
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プロローグ 終わりの始まり

心とは金剛石のように頑なでなくても良い。別段飛沫すら含んだスポンジのように柔く感じたって構うまい。擦り切れて役に立たなくなるまでに使われるそのことにもし、愛があったのなら。蝶とはひどくぶよぶよとした腹を持つ生き物である。綺麗とされる色づきが...
オリジナル小説

千里件の人間原理・目次

どう読み上げようとも世界は終わる。なら、地平に立ってみようと彼女は決めました。これはどうあっても救われない神なし世の中での、ホラーの後に残った終末にて語られる愛のお話。
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