2023-11

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それでも私は走る

私たち

朝露に、草木が濡れている。それは涙の程には見えないけれども、どこか悲しげな光景ではあった。 それを気にしながらも、しかし少女は芝を強く強く踏みつける。走るために、駆け抜けるために。 朝早くから芝生を散らかしているのは、――――という、ウマ娘...
それでも私は走る

負けるために来た

少女は名もなきモブウマ娘。――――は、何にもなれなかった。もともと、何でもなかったから。 でも、彼女だって懸命だったから、なにも変えられない、なんていうことはなかったのだ。 ――――という、ウマ娘がいる。 大粒の瞳に栗毛のショートカットに整...
それでも私は走る

それでも私は走る・目次

モブウマ娘――――。才能に恵まれない彼女は、それでも今はなきウマソウルのために、駆け続けます。己を火に焚べてでも。 スペシャルウィーク世代にて彼女は果たして名を挙げられるのでしょうか?
口が裂けてもいえないことば

後書き ハッピーエンド

ピリオドを決めつけられた、暗褐色の世界。 ゴミ捨て場とはそういうもので、私はもう殆どこれに等しい。 終わっていて、もう直ぐに消え去る。死とはそんなものであり、こんなものばかりを私を好んでくれたもの達に与え続けてきたことは慚愧に堪えないことだ...
口が裂けてもいえないことば

蛇足 牛の首

さて、以降は蛇足でつまりこれから述べる【私】とは何かという話に意味はない。 そもそもアイアムアイに自信がなければ【私】と世界にはそれほど差異がないといったのは正直なところ。 だが【私】こと|千里件《せんりくだん》はそもそも未来を知りこの世を...
口が裂けてもいえないことば

エピローグ 口が裂けてもいえないことば

「が、あああぁああっ!」 「あれ、うるさいよ?」 静寂は切創により死ぬ。少女の開いた口からおおよそ人の発するものではないような悲鳴が轟く中、罪悪滔天。 切り裂きジャックのお姉さんは、慈悲もなくただ当たり前のように両足を失った華子の口元へ小ぶ...
口が裂けてもいえないことば

第十四話 怖い話

ゴミ捨て場にて亡くなった命の一つに、足立勇二という青年がいた。彼は花子の友達、足立華子の兄である。 普通、一般の男子であった勇二は一年以上前にこの世のあり得ざる者共が忘れさられて消える前のゆりかごにまで迷い込んだ。 要は怪人やお化けというゴ...
口が裂けてもいえないことば

第十三話 この物語はフィクションであり、実在の人物や団体とは一切関係ありません

高橋七恵は、赤マントに見出された歪みである。おぞましき愛の赤に染められて人でなしになってしまった、最早心が無機物に近い噂の乙女だ。 「くっつかないわ」 そして、その無感動な心は身体も同じく血の通わぬものにさせた。硬く、脆く、それこそ硝子のよ...
口が裂けてもいえないことば

第十二話 真っ二つ

物語るばかりの道化が踊った黄昏時に、吉田美袋という少女は死んだ。彼女はやがて嘘みたいに残虐な切り裂きジャックと成り果てる。 そして、明津清太という人間はそもそも嘘だった。薄っぺらの設定、人でなしがこの世に貼り付けた物語は暴かれ赤マントという...
口が裂けてもいえないことば

第十一話 笑み

少女の日暮れにブザーは鳴らない。むしろ、闇こそが価値で、見えないことにこそ意味がある。 そう、足立華子には、よく分からないものこそその奥に何かがあるかと思えて願わしいものだった。だからこそ、異世界とすら言えるくらいの違った魔物の世界、ゴミ捨...
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