霊夢に博麗を継がせたら無視されるようになった

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霊夢に博麗を継がせたら無視されるようになった

第二十一話 運命は何一つ

前衛的を通り越した狂的。赤の強弱だけでどうして美観を創れたのか見るものが見たら唸ること間違い無しの紅魔館。 今日も今日とて湖の霧に包まれた館の底。地下を居住地として構え、むしろ館をただの日光を遮る蓋と捉えている出不精の魔女は手近に居た悪魔に...
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第二十話 あんたはあんた

「はっ、今日も生きるには丁度いい天気だっ」 独り言つ、晴天に白を混じえた黒き一線。 逃げゆく金の長髪を魔女帽で押さえながら昼に忘れた闇夜を空に描くように飛翔しているのは、魔法使いの少女霧雨魔理沙だった。 彼女は霧雨店のお嬢様を辞めて久しく、...
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第十九話 私と同じ

博麗霊夢には、親はない。 いや、正確には棄てた産みの親に育てた先代の巫女が居る筈なのだが、それらを彼女は親と見做していなかった。 顔も名前も知らない覚えていないそんな実父母は勿論のこと、没する前まで確かに衣食住を用意してくれいただろう先代の...
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第十八話 全てを忘れたとしても

「うーん……」 本を読むという行為に沈黙が付いて回るのは果たしてどうしてなのか、上白沢慧音はときに考える。 そして、きっとそれは読書という行いがそれだけ緻密なものであるためではないかと、今日の彼女は思いついた。 その通り、ただ目で文字を拾う...
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第十七話 私に会いに来てくれたら

「ん……」 「よし、よし」 母娘の関わりは別に、静謐でなくてもいい。 柔らかな触れ合いに、元気に怒りを向け合うことだって自然なこと。 だから、今の私達はきっと間違っているのだろうなと、上白沢慧音は思っていた。 夜のさざめきに、言葉にならない...
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第十六話 貴女を決して独りには

藤原妹紅は、不老不死の人間である。 そして、彼女は純粋な人間として蓬莱の薬を飲んで蓬莱人となったただ唯一の存在だった。 それは、同じ蓬莱人である蓬莱山輝夜や八意永琳らとも並べられない孤独。 穢れの少ない生を送る月の民と違い人間は、端から長命...
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第十五話 私はずっと貴女の

「暇ね」 艶と薔薇色で出来た唇から、吐息の代わりにそんな文句が漏れる。 一時の住み家と定めた太陽の畑。夏には背高の見事な向日葵が立ち上がって風に揺れそよぐその地は、しかし春を前にした今では草花の殆どが雪の底。 辺りには動物のひしめきも聞きと...
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第十四話 恨まないで

緋色すら容れずにただひたすらに紅色。それこそくどいほどに紅く染まった館、紅魔館。 美意識がそれこそ同族のものからすら離れているのは間違いない吸血鬼が住まう、窓一つなく閉塞的でもある館の深部。 本に彩られ本で飾られた多数というだけである種の美...
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第十三話 娘に遠慮しちゃ、ダメ

「寒い、な」 一年の殆ど湿り気を帯びた空気に包まれている魔法の森とはいえども、枯れに親しむ時期もある。 冬のからっ風には常緑樹ばかりのこの森林ですら痛むようになびいて、彼らが立てる音も寂しげだ。 そして、何より天辺に凍えるような白を多分に乗...
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第十二話 拾い上げてもいい

幻想郷では最近、スペルカードルールというものを用いた弾幕ごっこが特に少女達に認知され、暗に広まりつつある。 現在、空に理想の輝きを描くその血なまぐさくなくむしろ遊戯染みた決闘方法は、博麗の巫女に賢者達のお墨付きであることもあってか、特に力の...
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