霊夢に博麗を継がせたら無視されるようになった

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霊夢に博麗を継がせたら無視されるようになった

第十八話 全てを忘れたとしても

「うーん……」本を読むという行為に沈黙が付いて回るのは果たしてどうしてなのか、上白沢慧音はときに考える。そして、きっとそれは読書という行いがそれだけ緻密なものであるためではないかと、今日の彼女は思いついた。その通り、ただ目で文字を拾うだけな...
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第十七話 私に会いに来てくれたら

「ん……」「よし、よし」母娘の関わりは別に、静謐でなくてもいい。柔らかな触れ合いに、元気に怒りを向け合うことだって自然なこと。だから、今の私達はきっと間違っているのだろうなと、上白沢慧音は思っていた。夜のさざめきに、言葉にならないものばかり...
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第十六話 貴女を決して独りには

藤原妹紅は、不老不死の人間である。そして、彼女は純粋な人間として蓬莱の薬を飲んで蓬莱人となったただ唯一の存在だった。それは、同じ蓬莱人である蓬莱山輝夜や八意永琳らとも並べられない孤独。穢れの少ない生を送る月の民と違い人間は、端から長命に耐え...
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第十五話 私はずっと貴女の

「暇ね」艶と薔薇色で出来た唇から、吐息の代わりにそんな文句が漏れる。一時の住み家と定めた太陽の畑。夏には背高の見事な向日葵が立ち上がって風に揺れそよぐその地は、しかし春を前にした今では草花の殆どが雪の底。辺りには動物のひしめきも聞きとれはす...
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第十四話 恨まないで

緋色すら容れずにただひたすらに紅色。それこそくどいほどに紅く染まった館、紅魔館。美意識がそれこそ同族のものからすら離れているのは間違いない吸血鬼が住まう、窓一つなく閉塞的でもある館の深部。本に彩られ本で飾られた多数というだけである種の美すら...
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第十三話 娘に遠慮しちゃ、ダメ

「寒い、な」一年の殆ど湿り気を帯びた空気に包まれている魔法の森とはいえども、枯れに親しむ時期もある。冬のからっ風には常緑樹ばかりのこの森林ですら痛むようになびいて、彼らが立てる音も寂しげだ。そして、何より天辺に凍えるような白を多分に乗っけて...
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第十二話 拾い上げてもいい

幻想郷では最近、スペルカードルールというものを用いた弾幕ごっこが特に少女達に認知され、暗に広まりつつある。現在、空に理想の輝きを描くその血なまぐさくなくむしろ遊戯染みた決闘方法は、博麗の巫女に賢者達のお墨付きであることもあってか、特に力のな...
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第十一話 だから、私は嘘をつく

そこは、空間を覆わんばかりに大体が竹に竹に竹に竹で出来ていた。まだ青いものや朽ちかけのもの、そして目印に難儀する程の似たような太い竹。そんなものばかりが植わって入れ替わり立ち替わり伸びているそこは、当然縦横無尽に地下茎が張り巡っていて、足下...
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第十話 おっこっちゃう

「幻想郷史ではなく日本史か……原始の頃だと石器に、竪穴住居。古代で土器に古墳にヤマト王権で……ふむ。こうしてつらつらと並べていくのは問題ないか。いや、しかし目立つ事柄を集めたばかりが歴史ではないだろう。背景や文化なども確り記さねば……信憑性...
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第九話 ラブアンドピース

霧の湖の畔、結界によって消しゴムのように印象無くした空白地帯に潜んでいるいち建築。先代、博麗慧音の手による封印結界の中に建つそれは、赤い壁面を更に赤い枠で覆い、隙間なくそれを並べて屋根や何やらで紅く飾った、そんな調和も何もなくどこまでも赤一...
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