少女は星にならない 四話 泡の手のひらは水月を拾う 光線弱々しく変遷しながら遠ざかる茜色。紫色に落ち込んで夜に消えゆく陽光を望みながら、少女は思う。再び明日が来るという道理への不安を。また明日。そんな約束を果たせず両親は没した。ならば、かもしたら太陽すらも。光は儚く、脆い。「いやだ……」不安... 2023.10.25 少女は星にならない
少女は星にならない 三話 織姫は十五光年先の彼の姿を見つめる 長野といっても、決して山ばかりではない。街もあれば、野もある。車も通れば、花も咲く。だがしかし、そんな人と自然のバランスなんて知らないとでもいうかのように、京太郎の父親の実家の周囲は山だった。山の谷の、限界集落。自然、須賀一家は車での通いが... 2023.10.24 少女は星にならない
少女は星にならない 二話 風が本を捲らないから 宮永照は読書が好きである。文字となって出力された物語の数々は、本当だろうが嘘だろうが心を大いに刺激する。徐々に顕になってくるその内容の愉快も憂いも現実を変えるほどの力はないのかもしれないが、しかしだからこそ良かったのだった。恋しいほどそれは... 2023.10.24 少女は星にならない
少女は星にならない 一話 サモトラケのニケの美は翼にあるのか 大星淡は、星星が好きだ。太陽はおっきくてあったかいし、月は満ち欠けが綺麗。地球だって、とても大切な私達の世界だってことも分かっている。しかし、夜空というカンバスに思うがままに光を散らしたかのように細々とした星星一粒一粒こそが、淡にとっては空... 2023.10.23 少女は星にならない
少女は星にならない 少女は星にならない・目次 咲-Saki-のいわゆる天照大神になぞらえられるキャラクター達と、須賀京太郎くんとを中心とした恋愛系のお話となります。幾分愛が重いかもしれません。 2023.10.23 少女は星にならない
霊夢に博麗を継がせたら無視されるようになった 第十六話 貴女を決して独りには 藤原妹紅は、不老不死の人間である。そして、彼女は純粋な人間として蓬莱の薬を飲んで蓬莱人となったただ唯一の存在だった。それは、同じ蓬莱人である蓬莱山輝夜や八意永琳らとも並べられない孤独。穢れの少ない生を送る月の民と違い人間は、端から長命に耐え... 2023.10.23 霊夢に博麗を継がせたら無視されるようになった
霊夢に博麗を継がせたら無視されるようになった 第十五話 私はずっと貴女の 「暇ね」艶と薔薇色で出来た唇から、吐息の代わりにそんな文句が漏れる。一時の住み家と定めた太陽の畑。夏には背高の見事な向日葵が立ち上がって風に揺れそよぐその地は、しかし春を前にした今では草花の殆どが雪の底。辺りには動物のひしめきも聞きとれはす... 2023.10.22 霊夢に博麗を継がせたら無視されるようになった
霊夢に博麗を継がせたら無視されるようになった 第十四話 恨まないで 緋色すら容れずにただひたすらに紅色。それこそくどいほどに紅く染まった館、紅魔館。美意識がそれこそ同族のものからすら離れているのは間違いない吸血鬼が住まう、窓一つなく閉塞的でもある館の深部。本に彩られ本で飾られた多数というだけである種の美すら... 2023.10.22 霊夢に博麗を継がせたら無視されるようになった
霊夢に博麗を継がせたら無視されるようになった 第十三話 娘に遠慮しちゃ、ダメ 「寒い、な」一年の殆ど湿り気を帯びた空気に包まれている魔法の森とはいえども、枯れに親しむ時期もある。冬のからっ風には常緑樹ばかりのこの森林ですら痛むようになびいて、彼らが立てる音も寂しげだ。そして、何より天辺に凍えるような白を多分に乗っけて... 2023.10.20 霊夢に博麗を継がせたら無視されるようになった
霊夢に博麗を継がせたら無視されるようになった 第十二話 拾い上げてもいい 幻想郷では最近、スペルカードルールというものを用いた弾幕ごっこが特に少女達に認知され、暗に広まりつつある。現在、空に理想の輝きを描くその血なまぐさくなくむしろ遊戯染みた決闘方法は、博麗の巫女に賢者達のお墨付きであることもあってか、特に力のな... 2023.10.20 霊夢に博麗を継がせたら無視されるようになった