二次創作小説

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霊夢に博麗を継がせたら無視されるようになった

第三十六話 あんたなんか忘れて

紅魔館の地下には数多の書籍を蔵した図書館が広がっている。その中心、本の山を通り越して最早奇っ怪なオブジェと化したテーブルにて一冊の厚い本がまるで風の悪戯にさらされたかのようにさらさらと読み解かれていた。そう。そこにはいっそ幼気なまでの指先を...
それでも私は走る

ハリボテのエレジー

――――という少女は一見とてもそれらしい、ウマ娘だ。愛らしい容貌には大きな栗色の瞳がぱっちりと。耳のてっぺんからよく梳かれた髪は、例え海水をまとい二つ別れていようとも目を惹いて離さない。その上で、節々の細さに合わぬ隆々とした筋がむっちりとす...
霊夢に博麗を継がせたら無視されるようになった

第三十五話 私達のエッセンス

レミリア・スカーレットは、愛によって生まれた。それに間違いはない。基本的に妖怪変化は木の股から生まれた訳ではなく、ただよからぬ噂怪談が転じて具体化したものばかり。コギト・エルゴ・スムではなく人間原理に連なる、あやかし。もっとも神域から堕っこ...
美鈴おかーさん

第十九話 私の勝ちね

混ざり合わない直線の交わりの永遠。チェック模様だらけの夢幻館。単色ばかりなんて許さない多色の綺麗をこそ容れるその器は、似たようなものばかりを秘めるようになっていた。天使の悪魔、メイドの悪魔、花の妖怪。彼女らはまるで、白と黒の組み合わせを言い...
それでも私は走る

ワガママなの

「ふぅ……」灼熱が、己の中で燃える。走る者たちは夏を大体嫌うもの。辛いは耐えられても熱を堪えるのは難しいから、それも当然なのだろう。「いい、感じっ!」だが、そんな当たり前なんて――――のように突飛なウマ娘には関係ない。踏み込みに視界が揺れる...
霊夢に博麗を継がせたら無視されるようになった

第三十四話 友情なんて

青が黒に至る隙間の時間。夕に焼ける黄昏に、赤は存外溶けない。そんなことを、一人博麗霊夢は知る。「趣味の悪い建物」思わず彼女が発したそれは、眼前に鎮座する紅魔館を目撃した大多数の感想の代弁。赤に朱に、紅。建物に塗布するには赫々と燃える炎のよう...
霊夢に博麗を継がせたら無視されるようになった

第三十三話 友達なんだ

時知らず向き合う、サンライトイエロー。向日葵とは太陽の花。そんなの多くが自然に持つ認識であるからには、ここ幻想に至ってしまえばその結びつきは尚強まる。「っ」「辛そうね」そう、ただの向日葵の妖精でしかなかった筈の幽香はひたすらに勝ち続けること...
霊夢に博麗を継がせたら無視されるようになった

第三十二話 素敵な一日

氷の妖精チルノにとって、住まう湖の周囲の霧の色が変わろうとも大したことでなかった。自然の権化である多くの妖精は変化を気にするものだが、永遠の氷華である彼女には背景色の変化程度で怖じる心なんてない。故に此度の紅霧異変においても、遊び呆けるため...
霊夢に博麗を継がせたら無視されるようになった

第三十一話 背中を一目見て

空を見れば、ひたすらに青いばかり。明瞭な快晴に曇りなどどこにもない。しかし、地べたのありとあらゆるものが、不可思議な霧の赤さに染まってしまえば、見渡す限りの蒼穹すら大変にくすむ。多くが美しき天辺を見上げることなく、現の異常事態にてんやわんや...
霊夢に博麗を継がせたら無視されるようになった

第三十話 私の方がよほど

上白沢慧音は、この前七つ程度の夜を人里の外で過ごした旅から帰った。孤児達の勉強をみてあげるのだって必要だし、そろそろ寺子屋の完成も近くあるからには、慧音も忙しなさに翻弄される日々を送ることになる。読書を嗜む暇もろくになければ、書き物を続けて...
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