二次創作小説

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それでも私は走る

こんなに幸せ

ウマ娘達がその速さを競うということは、人が薄氷を渡ることと似ているのかもしれないと、彼は思った。そもそも遅ければ氷の下に堕ちてしまうだろうし、そしてほんのちょっと力を入れすぎただけで氷は脆くも砕け散って足を取られてしまう。最悪没した先に適切...
霊夢に博麗を継がせたら無視されるようになった

第二十一話 運命は何一つ

前衛的を通り越した狂的。赤の強弱だけでどうして美観を創れたのか見るものが見たら唸ること間違い無しの紅魔館。今日も今日とて湖の霧に包まれた館の底。地下を居住地として構え、むしろ館をただの日光を遮る蓋と捉えている出不精の魔女は手近に居た悪魔にこ...
美鈴おかーさん

第十八話 家庭訪問

幼少の妄想。人を殺めかねない不安。崇め立てるべき神聖。それらは妖怪、怪人、神等など。彼ら発生が空想信仰に依る者どもは、空から生まれた単一であるからこそ、多くが親愛など知らない。だからその存在が絶対であろうがなかろうが、殆どを対面のみで済まし...
美鈴おかーさん

第十七話 背水の陣

紅美鈴というよく分からない妖怪は、出自を辿ると神獣へと行き着く。ドラゴン、龍。大いなる自然の具現で、混沌たる力の根源。少し傾けば善となり、反対に向いてしまえば悪となる。そんな、茫漠とした上澄み。そこから誕生したのが、紅美鈴という妖怪だった。...
美鈴おかーさん

第十六話 夢幻

夢幻。それは、創造に至らぬ想像。とりとめもない、不確か。夢は消えるもので、幻だってそれと同じ。だがしかし、強度が違うばかりで、ひょっとしたら現実もそれらと変わらないものではないか。胡蝶の夢。邯鄲の夢。主体は果たしてゆらゆらと、思考を待ってい...
美鈴おかーさん

第十五話 弱っちい

蝶よ花よの言葉はあれども、誠に野花の生は辛いもの。日に灼かれて虫にたかられ、水を蓄えることすら難儀する。そもそも、身を委ねた地に命を預けることすら生半可な生き物であっては出来ないこと。だが、それでも花は咲く。歪であっても汚れていようが、愛の...
霊夢に博麗を継がせたら無視されるようになった

第二十話 あんたはあんた

「はっ、今日も生きるには丁度いい天気だっ」独り言つ、晴天に白を混じえた黒き一線。逃げゆく金の長髪を魔女帽で押さえながら昼に忘れた闇夜を空に描くように飛翔しているのは、魔法使いの少女霧雨魔理沙だった。彼女は霧雨店のお嬢様を辞めて久しく、この方...
美鈴おかーさん

第十四話 負けないで

全てに見上げられるためにある輝き。何よりも美しく刺激的な、一つ星の形象。それを計る数字になど欠片の意味もなく、どこまでも幻想的なその決めつけにこそ価値があった。曰く、最強。別段三千世界にて比べあったことすらないというのに、その個体はそうであ...
美鈴おかーさん

第十三話 もしもの時は

人において分かりやすい証というものは、名前と立場であるだろう。こと現世においては名刺にでかでかと書かれた名前と所属により、その人を信頼する場合も往々にしてあった。しかし、幻想に捨てられた際全て忘却してしまった少女には何も存在せず、故にサクヤ...
美鈴おかーさん

第十二話 めでたし、めでたし

時を止めてしまえば止めた人だって動けない。そう、時間を止めてしまえば従属する空間だって凍る。そんな中を泳げる人間なんて果たして存在するのだろうか。勿論、ただの人がそんなことを可能にするのはきっと難しい。また、粒ごと固定された全てを退かすに足...
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