美鈴おかーさん 第五話 べびーしったー 朧月夜に影二つ。まるでそのものと見紛うばかりの見事な人の形に、球の集い重なりのような不可思議な形状の黒。そんな二つが並んで空を往く。仲良く、というには一方が少し先導しているような感もあるだろうか。空飛ぶ人間のようなものが、闇を引き連れている... 2024.03.06 美鈴おかーさん
美鈴おかーさん 第四話 私の方が 博麗神社を祟る怨霊。いや纏わり付き過ぎた挙げ句に御霊信仰に巻き込まれたのか今や博麗神社の主神のようにすらなってしまっている、魅魔。彼女にとって紅美鈴という妖怪は奇々怪々な存在である。魅魔はこれまで永き間、人の隣で呪っていた精神である。横から... 2024.03.05 美鈴おかーさん
美鈴おかーさん 第三話 可愛い妹 「はっ!」透過する、薄青に紅。朝霧に乗せた人魚の歌声響く中、霧の湖の畔にて、踊るものが一人。いや、それは舞にしては武骨であっただろうか。美しくも鋭い、それは演武となって霧を裂いていく。優れた形の移り変わりはあまりに素早い。そこそこな長駆を伸... 2024.03.05 美鈴おかーさん
美鈴おかーさん 第二話 代わりじゃないよ 蒼穹に立ち昇った、残滓の煙、白一筋。神社の境内から振り返り見たその景色ばかりが記憶に残る。博麗霊夢はその日、人里にて行われた盛大な葬礼に、深く感じることはなかった。可哀想に、頑張るんだよ、上から投げつけられるそんな言葉を下から聞いて、ただ頷... 2024.03.03 美鈴おかーさん
美鈴おかーさん 第一話 おかーさん? 布団の代わりに柔らかに繁茂した草。天井代わりに天の川に星々を散らす天上。木の根に横たえた顔の隣で跳ねた、バッタに笑う。これは家なき子の、野宿。けれども、野を家とするのは、別に苦痛ではないと、紅美鈴は思う。「何しろ、昔はこんなのばかりだったか... 2024.03.03 美鈴おかーさん
美鈴おかーさん 美鈴おかーさん・目次 東方Projectの紅美鈴さんが主役の二次創作小説です。妖怪の彼女が人と妖怪の間を行ったり来たりしながら母のごとくに少女らの心を和ましていく小説となります。日向に安堵する妖怪、闇を知る人の子。白と黒は果たしてどちらに。 2024.03.03 美鈴おかーさん
それでも私は走る 悲鳴をすら 「……美味しいです」一人蕎麦屋のカウンター席に座して、一口いただいて直ぐにそう零したのは碧い目をした栗毛のウマ娘。主人が少女のためにとせいろ蕎麦たっぷりと盛りに盛ったは十人前。だが、彼女にとってそれは腹八分目に収められる程度でしかないのだか... 2024.02.25 それでも私は走る
霊夢に博麗を継がせたら無視されるようになった 第十九話 私と同じ 博麗霊夢には、親はない。いや、正確には棄てた産みの親に育てた先代の巫女が居る筈なのだが、それらを彼女は親と見做していなかった。顔も名前も知らない覚えていないそんな実父母は勿論のこと、没する前まで確かに衣食住を用意してくれいただろう先代の巫女... 2024.02.07 霊夢に博麗を継がせたら無視されるようになった
霊夢に博麗を継がせたら無視されるようになった 第十八話 全てを忘れたとしても 「うーん……」本を読むという行為に沈黙が付いて回るのは果たしてどうしてなのか、上白沢慧音はときに考える。そして、きっとそれは読書という行いがそれだけ緻密なものであるためではないかと、今日の彼女は思いついた。その通り、ただ目で文字を拾うだけな... 2024.01.31 霊夢に博麗を継がせたら無視されるようになった
それでも私は走る それでも、私は走る 「全治、二ヶ月か……何、してようかな」若葉色の一重の患者着に身を包みながら、少女は先に聞いた医者の言葉を繰り返す。随分と長く気絶していたらしい合間にがっしりと巻かれたギプスを装置で釣り上げられた、そんな身動きろくに取れない大げさな眼前の光景... 2024.01.30 それでも私は走る