それでも私は走る

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それでも私は走る

掴む

生きることは、燃やすことである。そして、死に向かうことでもあるだろう。 また、生まれてから死ぬまで、その間隙が酷く美しければ誰かの記憶に深々と残ることもあった。 それはたとえば活躍した競走馬の魂の形。綺麗に綺麗に彼らの活躍はラッピングされる...
それでも私は走る

叫び

その日も、空は高かった。綺麗な青が、白すら含まずひたすらに天を作り上げている。 それこそ人の手には掴めないとひと目で理解できてしまうくらいには、今日の天蓋は遠く澄んで抜けていたのだ。 「ふぅ……」 でも、そんな小利口な理解なんてものを嫌い、...
それでも私は走る

雪華のように

少し暗い雰囲気になりもしたが、主にセイウンスカイと仲良くした一日は――――にとって楽しく過ぎた。 喫茶店の後は公園に移動して、久方ぶりに芝を楽しんだり、二人で花を愛でる。 その際に来年には飛び級してトレセン学園に入るのだと話すニシノフラワー...
それでも私は走る

空が青かったら

勝つ、ということは相手を負かすことである。 そして、何度も何度も蹄鉄の下にて踏みにじられた過去を知っている――――は、勝つことでしか認められないものがあることを重々知っている少女は、敗北の悔しさを過ぎるくらいに知ってた。 だから、負けないよ...
それでも私は走る

間違い

「はぁ……はぁ……」 走る、走る。――――は、疲労に止まらず、ただひたすらにダートを駆け続けていた。 柔らかい土に、左右に揺れる足首。重心も、次第にぶれてきていた。それでも、前へ。 自分をいじめるとは、このことか。それはまるで、怪我をするた...
それでも私は走る

真剣

アメリカ生まれのグラスワンダーというウマ娘にとって、日本というのは絵画の中の世界だった。 遠く、そしてどこか違う知らないところ。美しい、優れた誰かの筆致。 そんな国が大好きな母に寝物語の代わりに聞いた覚えを大切に、グラスワンダーは憧れに次第...
それでも私は走る

星だって

――――は、里山遠い、都会に生まれた。 昔から彼女にはブッポウソウの鳴き声よりも、カラスの騒ぎが耳に慣れていて、野良など望めずただ、美しく並んだ木々ばかりを見上げていた。 ぬかるみよりも整地ばかりの周囲にて、しかし、元より彼女はウマの娘。ヒ...
それでも私は走る

私たち

朝露に、草木が濡れている。それは涙の程には見えないけれども、どこか悲しげな光景ではあった。 それを気にしながらも、しかし少女は芝を強く強く踏みつける。走るために、駆け抜けるために。 朝早くから芝生を散らかしているのは、――――という、ウマ娘...
それでも私は走る

負けるために来た

少女は名もなきモブウマ娘。――――は、何にもなれなかった。もともと、何でもなかったから。 でも、彼女だって懸命だったから、なにも変えられない、なんていうことはなかったのだ。 ――――という、ウマ娘がいる。 大粒の瞳に栗毛のショートカットに整...
それでも私は走る

それでも私は走る・目次

モブウマ娘――――。才能に恵まれない彼女は、それでも今はなきウマソウルのために、駆け続けます。己を火に焚べてでも。 スペシャルウィーク世代にて彼女は果たして名を挙げられるのでしょうか?
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