二次創作小説

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それでも私は走る

勝利は彼女のもの

レースにおいて一位でなければそれは敗北と同義。 手と手を繋いでゴールなんていうお遊戯のようなことは出来ない真剣だからこそ、勝敗には強い意味合いが出るものだ。 とはいえ、別段上位に価値がないという訳でもない。 重賞で十着、そうでなくても八着以...
それでも私は走る

勝つよ

たとえ彼女が心に鉛のような重みを感じ続けていたとしても、時計は勝手にぐるりと廻る。 今日も銀色目覚まし時計は、毎日欠かさず朝に騒ぐ。起きなさいと、まるで命へと急かすように。 「ん……起きないと」 細く靭やかな指先が優しくボタンを押して、ジリ...
それでも私は走る

一番になりたい

話は、少し前から遡る。 それは、彼女がはじめて登校したその朝から。 彼女は見定めるかのように、彼女を見つめていた。 どの学校だろうと転入生というのは話題になりやすいもの。 それがまた、ある種実力主義のトレセン学園での転入生であるならば、尚の...
それでも私は走る

お前ん家、デストロイヤー

「こりゃあ、ゴルシちゃん大ピンチって奴だぜ……」 その日、ゴールドシップは焦っていた。 それには勿論、来年のカレンダーの日付に星印を付け忘れたことや、マックイーンに対して高カロリーしりとりをけしかけ損ねたことは関係ない。 ましてやさっき、一...
それでも私は走る

私のせいだ

「うぅ、ん……」 それは慣れない枕に依るものだろうか、はじめて寮にて寝入ったスペシャルウィークはその夜奇妙な夢を見た。 はじまりは、靄。その深き中から注目すべき光を、少女は見つける。 「あの子……」 スペシャルウィークが発見したのは一人のウ...
それでも私は走る

不釣り合い

自分の他のウマ娘すら見かけたことのないくらいの田舎、広大な北海道の片隅にてスペシャルウィークという名を掲げる少女は過ごしていた。 同じ道内といっても、そこは札幌やら富良野やら有名観光地があるような場所でもない。 あるのは、牛と農地と、木々ば...
それでも私は走る

貴女と共にある

時は、まだ冬休みも終わっていない一月七日の昼過ぎ。 そういえば購買はまだやっていないのだと遅れて気づき、食事を近くのコンビニで買ったパン三つで終えたばかりの若きトレーナーは、しばしトレーナー室(チームを作成していないトレーナー達が共有してい...
それでも私は走る

頑張るね

年を越えたばかりの冬の候。吐息の軌跡が白となり、凍える指先が赤くかじかむそんな日。 痛いくらいの冬を駆け回るのは、子供だけではなかった。 学生であるからには年末年始を遊びに費やす者も多くて正しい。 だが、年始めの休暇をかけっこの練習に当てる...
それでも私は走る

よろしくね

「ふぅ……」 朝、鏡を前に顔を洗う。彼女はあまりこの時間が好きではない。 とはいえ、目麗しいウマ娘という以前に年頃の少女。洗顔は念入りであって当然であり、また個人的な理由で《《マスク》》を常につけている彼女にとって不潔は天敵。 それこそニキ...
それでも私は走る

走るのって

――――は、関東、引いては東京の摩天楼に馴染んだウマ娘である。 たとえ旅行で色んなひなびたところへ行ったとしても、その土地土地の面白さより結局は自宅マンション周辺のコンビニやデパート、食事処が纏まった利便性の方を大事にしてしまう。 遠くの美...
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