美鈴おかーさん

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第十八話 家庭訪問

幼少の妄想。人を殺めかねない不安。崇め立てるべき神聖。それらは妖怪、怪人、神等など。彼ら発生が空想信仰に依る者どもは、空から生まれた単一であるからこそ、多くが親愛など知らない。だからその存在が絶対であろうがなかろうが、殆どを対面のみで済まし...
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第十七話 背水の陣

紅美鈴というよく分からない妖怪は、出自を辿ると神獣へと行き着く。ドラゴン、龍。大いなる自然の具現で、混沌たる力の根源。少し傾けば善となり、反対に向いてしまえば悪となる。そんな、茫漠とした上澄み。そこから誕生したのが、紅美鈴という妖怪だった。...
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第十六話 夢幻

夢幻。それは、創造に至らぬ想像。とりとめもない、不確か。夢は消えるもので、幻だってそれと同じ。だがしかし、強度が違うばかりで、ひょっとしたら現実もそれらと変わらないものではないか。胡蝶の夢。邯鄲の夢。主体は果たしてゆらゆらと、思考を待ってい...
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第十五話 弱っちい

蝶よ花よの言葉はあれども、誠に野花の生は辛いもの。日に灼かれて虫にたかられ、水を蓄えることすら難儀する。そもそも、身を委ねた地に命を預けることすら生半可な生き物であっては出来ないこと。だが、それでも花は咲く。歪であっても汚れていようが、愛の...
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第十四話 負けないで

全てに見上げられるためにある輝き。何よりも美しく刺激的な、一つ星の形象。それを計る数字になど欠片の意味もなく、どこまでも幻想的なその決めつけにこそ価値があった。曰く、最強。別段三千世界にて比べあったことすらないというのに、その個体はそうであ...
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第十三話 もしもの時は

人において分かりやすい証というものは、名前と立場であるだろう。こと現世においては名刺にでかでかと書かれた名前と所属により、その人を信頼する場合も往々にしてあった。しかし、幻想に捨てられた際全て忘却してしまった少女には何も存在せず、故にサクヤ...
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第十二話 めでたし、めでたし

時を止めてしまえば止めた人だって動けない。そう、時間を止めてしまえば従属する空間だって凍る。そんな中を泳げる人間なんて果たして存在するのだろうか。勿論、ただの人がそんなことを可能にするのはきっと難しい。また、粒ごと固定された全てを退かすに足...
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第十一話 サクヤ

その銀の少女が人里に現れたのは、酷く暗ったい夜も更けた頃合いであったようだ。少女は、幻想郷では珍しくもない木造の家屋の間をきょろきょろと驚きに怯えながら歩いていたらしい。酔いに酔った、問屋の番頭が赤ら顔で目抜き通りを歩んでいたところ、そこに...
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第十話 〇〇〇〇の幻想入り

彼女、〇〇は己が稀なる血の先祖返りであるということは知っていた。それもそうであるだろう、こんなシルバーブロンドの自毛を生やした日本人なんて、他にはいない。祖父が厳しく話すのを聞くまでもなく、自分が他と違うことくらい分かっていた。「でも、まあ...
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第九話 †

「むにゃむにゃ……」パイプ椅子に背を寄りかからせて、ぐっすり。その赤い髪おさげを垂らしながら、赤き彼女は眠っていた。つるりつるりが継ぎ目なく。そして少女の周りで時折キラキラ星空のように瞬く原色が、出来損ないのサイエンスフィクションのような内...
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