茶蕎麦

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霊夢に博麗を継がせたら無視されるようになった

第三十七話 すっきりしたわ

硬質な材の廊下に降ろされるは、靴下に包まれた柔らかなつま先。よって特に忍んでおらずとも音も立てることなく彼女は残骸としたばかりの出入り口を背に進む。背負うコウモリの羽根が骨ばかりになっているとはいえ、空を行くことが出来る少女が階段へと伸ばす...
それでも私は走る

比翼の鳥

風はどこか冷たさを帯びていながら、日差しは熱そのもの。そんなこの頃の秋の天気のもとに、優駿ばかりがくつわではなく肩を並べて競い合う。炎天に長く伸びすぎたため刈られて整ったばかりの街路樹が風に撫でられざわめいた。良バ場で行われる9月20日、日...
それでも私は走る

今日も、一緒に走ろ

「ウララ……起きて」「うう……――ちゃん。分かったよお……」柔らかで心地よい、ハスキーボイス。それを何時も明日の朝の楽しみにしながら少女は寝て、起きる。ぴこぴことピンクの耳はすぐ近くの彼女の心音をすら探ろうしているかのように動く。やがてここ...
マイナスから目指すトップアイドル

最終話 マイナスから目指したトップアイドル

百合は、町田百合ですぅ。ちょっと前までトップアイドルってのを目指してましたぁ。そして、ちょっと前になれたんですねぇ。らくしょー……ってわけじゃなくって結構頑張らなきゃだったのが悔しいですがぁ、でもなんとかなったのは嬉しかったですぅ。これで、...
霊夢に博麗を継がせたら無視されるようになった

第三十六話 あんたなんか忘れて

紅魔館の地下には数多の書籍を蔵した図書館が広がっている。その中心、本の山を通り越して最早奇っ怪なオブジェと化したテーブルにて一冊の厚い本がまるで風の悪戯にさらされたかのようにさらさらと読み解かれていた。そう。そこにはいっそ幼気なまでの指先を...
それでも私は走る

ハリボテのエレジー

――――という少女は一見とてもそれらしい、ウマ娘だ。愛らしい容貌には大きな栗色の瞳がぱっちりと。耳のてっぺんからよく梳かれた髪は、例え海水をまとい二つ別れていようとも目を惹いて離さない。その上で、節々の細さに合わぬ隆々とした筋がむっちりとす...
救えない魔法少女

第十三話 高段

ぱん。そんな音がした。「え、と」いつの間に弾けたのだろうか。魔物は瞬きの間に消失していた。あの存在の末期の証明が先の音色だとするのならば、何とも命として軽い。いいや、これはひょっとして。位すら弾けるほどの足し算があの合間に行われた証左ではな...
勘違い吸血鬼ばかさねちゃん

第十八話 優しい魔法使いってなんですかい?

夕日落っこちて、もう夜だ。結構暗いけど、そんなには暗くない。まあ、最低でも蘭を見逃してしまわないくらいには、この新月の夜もそこそこ明かりがあった。オレは結構夜目が利く。これでよく夜な夜な猫の会合に参加しににゃあにゃあ行っていたのだが、一度寝...
霊夢に博麗を継がせたら無視されるようになった

第三十五話 私達のエッセンス

レミリア・スカーレットは、愛によって生まれた。それに間違いはない。基本的に妖怪変化は木の股から生まれた訳ではなく、ただよからぬ噂怪談が転じて具体化したものばかり。コギト・エルゴ・スムではなく人間原理に連なる、あやかし。もっとも神域から堕っこ...
美鈴おかーさん

第十九話 私の勝ちね

混ざり合わない直線の交わりの永遠。チェック模様だらけの夢幻館。単色ばかりなんて許さない多色の綺麗をこそ容れるその器は、似たようなものばかりを秘めるようになっていた。天使の悪魔、メイドの悪魔、花の妖怪。彼女らはまるで、白と黒の組み合わせを言い...
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