幽香さん、優しくしてみる

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幽香さん、優しくしてみる

第十話 虹色の門番に優しくしてみた

「ぐぅ……」 春麗らか。そよぐ風薫り、朗らかに降り注ぐ日差しは身体を程よく温める。そんな、春の美点を集めたような空の下。霧の湖の畔の紅魔館、その門前にて横になって寛いでいる妖怪が一人。 緑色のチャイナ服をベースに洋服へと改造したかのような衣...
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第九話 魔法使いの尼さんに優しくしてみた

高く、そして常の青から色変わった空の上。濃い赤色にその身を踊らせ、その身の二色の内白色をよく浮かび上がらせているのは、博麗霊夢。 移動中の聖輦船に乗り込んだことで知らず知らずの内に魔界まで連れて来られてしまった霊夢は、やっとこの事態がただの...
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第八話 虎柄な毘沙門天に優しくしてみた

「なるほど、つまり幽香、貴女は封印を解けない、ではなく解かない。しかし、道中の安全確保はしてくれる、と」 「私の開封は何時だって力技。加減を損ねて下手をしたら中身ごと潰しかねないというのは拙いでしょう。だから、私に出来る残ったことはそれまで...
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第七話 ダウザーな鼠に優しくしてみた

「ご主人……私は少し拙いことを知ってしまったのかもしれない」 「これは唐突に……何ですか?」 満点の星空の下にて、クビキリギスの鳴き声響くそんな夜更け。無縁塚近くにある小さな掘っ立て小屋。畳張りのその中にて、寛ぐ妖怪が二人あった。 一人、家...
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第六話 七色の人形遣いと九尾の式に優しくしてみた

「幽香。魔理沙が貴女に虐められたって、騒いでいたわよ。一時は自然のこととして聞き流そうとしたけれど、出来なかったわ。貴女、どうにも随分と趣向を変えて嫌がらせしたみたいね」 「嫌がらせ、とは少し違うのだけれど」 あいにくの花曇り。しかし、日当...
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第五話 蛍の妖怪に優しくしてみた

リグル・ナイトバグは蟲の妖怪であり、更に言えば、蛍の妖怪である。 幽香と同じ緑髪で、幻想郷の少女には珍しいパンツルックであるという特徴も目を引くところであるが、その存在の大本が虫というところが、実は一等珍しい部分だった。 虫の妖怪、というの...
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第四話 さとり妖怪と一角の鬼に優しくしてみた

地底――主に幻想郷では旧地獄、忌み嫌われる妖怪に怨霊溢れる地下の広大な空間を言う――の先へと続く、縦穴を通う妖怪が一人。 本来ならば進入禁止。地底の妖怪が怨霊を封じるのと引き換えに地上の妖怪の不可侵が約束されている――もっとも現在はとある騒...
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第三話 現人神に優しくしてみた

風見幽香はそれなりに、人里へと顔を出すことがある。 勿論、妖怪であるということで、大勢に歓迎されることもないが、しかし普段大人しい客である彼女は行きつけの店において、その来訪は喜ばれた。 幽香が人里にて顔を出す店というのは、大方決まっている...
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第二話 氷の妖精に優しくしてみた

春の陽光、雲なき晴天の下。霧の湖と呼ばれるその水場は青空に合わせたかのように、珍しくも清々しく晴れ渡っていた。 いや、或いは邪魔な霧は、彼女の勘気に触れることを恐れて逃げ去っていったのだろうか。来ることを知った者がそう思ってしまいかねない程...
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第一話 白黒魔法使いに優しくしてみた

ふと、風見幽香は考えた。そういえば、自分は他人に優しくしたことなんて殆どないな、と。 なら、やってみようかと、そんな風に思い立ったのは、霧雨魔法店上空での霧雨魔理沙との弾幕ごっこの最中であった。 「まあ、思ったからとはいえ、流石に、優しく負...
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