オリジナル小説

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口が裂けてもいえないことば

第一話 雲天

吉田|美袋《みなぎ》にとって、この世は努めなければ綺麗に見えないものである。 そして、彼女にとって頑張るのなどわけないこと。嫌いからは目を背けて、好きには目を瞠る。見て見ぬ振りをすることで、大凡美袋の世界は美しかった。 くすんでいたって、光...
口が裂けてもいえないことば

プロローグ ピリオド

「そういう、こと」 涙の代わりに微かな頬を伝って落ちる、それはまるで紅玉の軌跡。 そんな綺麗の滑りが、悪意の洞から溢れ出たものだなんて、とても思えない。それくらい、彼女の血は純だった。 いや、おどろおどろしさ、というものが五臓六腑にまで行き...
口が裂けてもいえないことば

【完結済み】 口が裂けてもいえないことば・目次

人を信じる人に、信じない人。そのスキマに怪人が発生する。 懊悩する口裂け女の花子さん、誕生する切り裂きジャックに、踊る赤マント。 彼らが傷つけあいやがてたどり着いた結論は、果たして。
口が裂けてもいえないこと

番外話その三 メリーバッドエンド

合わないものは、虐められる。往々にして間違っている者は、正しさに痛めつけられるのだった。 「汚え」 学校に行くことで、初めて七恵は自分が汚いことを知る。だが、それからの脱却方法など分からない。親に聞いても、そんな格好で学校に行ったの、馬鹿じ...
口が裂けてもいえないこと

番外話その二 七恵の不思議②

将来的に赤マントに口裂け女の少女、ハナコという怪談を生かすためのストーリーテラーとして被害者を知り適正があるからと選ばれて。そして、悪意の全てを平気で直視し語れるように赤く染められてしまう七恵。 しかしその前、中学二年の時分は当然の様にそん...
口が裂けてもいえないこと

番外話その一 七恵の七不思議①

それは幾年かの昔。普通と不通は、少し前に並んでいた。 そう。中学生活も半分を過ぎたそんな最中、四つのクラスのお隣さんとして、足立勇二と高橋七恵は交わらずに暮らしていたのだ。 方や愛を知って、隣人と語り。方や愛を知らずに、隣人を騙り。沢山の中...
勘違い吸血鬼ばかさねちゃん

第十六話 敵の敵ってなんですかい?

蘭が魔法少女というものにハマったのは、第二の生をお母の作った献立と共に再出発をしたその直後のことだったらしい。 普通の人と同じものも食べられず、家族での食卓にてよく吐いてすらいた彼女は、それでもお姉ちゃんお姉ちゃんと付いてきてくれていた妹に...
勘違い吸血鬼ばかさねちゃん

第十五話 魔法少女フラグってなんですかい?

オレは動物の中ではくまさんが一番に好きだが、別にうさぎさんが嫌いという訳でもない。 いや、むしろよく考えたら結構好きな方かもしれなかったな。何せ、干支に選ばれた程のその俊敏さは中々だし、そもそもちっこくて柔い。可愛いと言えばその通りだろう。...
勘違い吸血鬼ばかさねちゃん

第十四話 信じたいってなんですかい?

授業、というのは中々に面白い時間だとオレは思う。 イミフが先生の説明によってなるほどに変わっていくのはかなり面白いし、そもそもカツカツ黒板に叩き込まれるチョークの音が結構好きだったりもする。 それに、先生方って結構年取っているのもあって個性...
勘違い吸血鬼ばかさねちゃん

第十三話 分からないってなんですかい?

「ふぁ。結局、よく分かんなかったな……」 あくびとともに、ひと言。天才のばかさねちゃんらしからぬ言葉を、誰にも聞かれなかったのは幸いだっただろうか。 まあでも仕方ない。ラブコメにシリアスにファンタジーはオレの専門外だからな。そんな感想を鈍い...
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