オリジナル小説

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私は彼女の魔嬢(まじかるすてっき)

第三話 雨音

第三話 雨音「わあっ、すてっきー、速いよー」「私じゃあスマッシュを遅くは出来ないよ、っと」「あっ、手前に落とさないでー」世間では空梅雨が騒がれている中、ようやく降ってくれた雨が音を立てて、空の軋みを聞こえなくさせる。混ざりながらも大いにあい...
私は彼女の魔嬢(まじかるすてっき)

第二話 喪失

第二話 喪失私は自分で思っているよりも大分、見目が良いらしい。間違いなく性格は悪いのだろうが、人当たりには気を遣っているので、あまりそれが表に出て来ることもなかった。私には理解できないが、だからだろうか、異性からの告白というものはそれなりに...
私は彼女の魔嬢(まじかるすてっき)

第一話 子犬

第一話 子犬人はアレを除いて、生きている。私は、アレを覗いて生きている。それが、大きな違い。青を隅っこに追いやって不確定未確認に蠢く空を見たくはなくて、私はなるだけ下を向いて歩く。人との距離は充分で、ゴミは端に退かれているがために、硬いばか...
私は彼女の魔嬢(まじかるすてっき)

プロローグ 虚飾

プロローグ 虚飾魔法というのは人間の世界には存在しない。それは、外の法則。魔なる力の発露。「やっつけるよー」『気をつけてね』人に掴めるはずのないソレ。しかし、その少女は魔法を用いることが出来た。多分なルール、それを手に持つ杖にて触れることで...
私は彼女の魔嬢(まじかるすてっき)

【完結済み】私は彼女の魔嬢(まじかるすてっき)・目次

杖ポジションの少女を主人公とした魔法少女ものです。それは、当たり前と異常が重なり合いながら蠢く今を生きる彼女らだから出来る魔法でした。
口が裂けてもいえないこと

最終話 口が裂けてもいえないこと

最終話 口が裂けてもいえないこと「……それで、彼は殺されちゃったの」「お姉さん、それマジな話?」「うふふ。マジ、よ」「こえー」「……いやだ」青く、透明な秋空に朱が混じり始めたそんな時間。人気に溢れた街の中、公園内にてちらほら解散し始めた子供...
口が裂けてもいえないこと

第九話 花子

第九話 花子月は惑わず空にある。仰げば確認出来るその事実は、誰に定められたのだろう。過去から続く法則や、森羅万象による奇跡か、はたまたカミサマか。しかし、それはこの世界の決め事ではなかった。不必要のみを移した写本の如き別世界に倍星など存在し...
口が裂けてもいえないこと

第八話 以上

第八話 以上七恵は目眩の極大を味わった。世界が裏返る、そんなどうしようもなく覚束ない感覚の中で、彼女は必死に何かを掴む。その何かは誰かの悲鳴だった。掌に響くそれを掴みきることが出来ずに、サイクルジャージ姿の少女はまた自分を失う。触れようとま...
口が裂けてもいえないこと

第七話 普通

第七話 普通赤い怪人の、滴っているような、崩れ落ちているような、そんな言の端が特異に聞こえる悪意に満ちたメッセージを受けた二人の間には、しばし沈黙が降りる。この不通は不信によるもの。口裂け女を信じるのは正しいのか、という自問に勇二は答えを持...
口が裂けてもいえないこと

第六話 華子

第六話 華子じゃらりという鎖の音で、少女は目を覚ました。目を開けて、まず始めたのは頬の痛みを思い出すこと。手を伸ばしてつい撫で擦ってしまった左のほっぺたは赤を超えて青黒く腫れている。思わず、触れてしまった小さな指先は、頬に走った激しい痛みに...
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