オリジナル小説

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私は彼女の魔嬢(まじかるすてっき)

第十三話 歪形

第十三話 歪形私は、恋を知らない。愛は、多分見知ったものと思うのだけれど。そう、今まで私の好きは、どうしても恋愛に届くことはなかった。異性。私は彼らをあまりに知らない。お父さんにお兄さんだってよく分からないというのに、それより離れた他人とな...
私は彼女の魔嬢(まじかるすてっき)

番外話四 アリスの白い恋

番外話四 アリスの白い恋大須の本家は、化け物の集まり。決して悪口ではないそんな事実を知るものは、そう多くはない。瀞谷町でも、その地に深く根付いた家々、中でも縁ある分家で同類の楠川家においてしか、そんな伝承は最早真面目に語られてはいなかった。...
私は彼女の魔嬢(まじかるすてっき)

第十二話 寂寥

第十二話 寂寥別離は、どうしようもないことだ。足掻いて足掻いて、無理なもの。寿命も機会も、全ては時間に必ず喪われる。だから、終わっている彼女を生き永らえさせたのは、間違いであるのだけれど、それで良かったとも思う。誤って、苦しくても生きたいの...
私は彼女の魔嬢(まじかるすてっき)

第十一話 赫怒

第十一話 赫怒私はその時、生まれて初めて、星を見た。抱き締めたくなるくらいに小さく、儚い、しかし巨いなる全て。青黒いキャンバスに眩い点描。夜空に光る、数多。更に、何よりも綺麗な一等星を。不可思議なほど近くに見えたその閃光は、とても美しく輝い...
私は彼女の魔嬢(まじかるすてっき)

番外話三 龍夫の死闘

番外話三 龍夫の死闘大須龍夫は、人として外れている大須家の中で、唯一人として優れた人間だった。往々にして理解できないものに通じている家族。そのなかで龍夫だけは、人に通じていたのである。しかし、龍夫は抜群で、度が過ぎた。人知れずよく分からない...
私は彼女の魔嬢(まじかるすてっき)

第十話 魔者・後

第十話 魔者・後「は、何言ってるか解んないが、どうにも既知のご様子だ。なら、こいつは……元人間の、さしずめ魔者といったところか。俺の記憶にはないが、滴の知り合いだったりするのか?」「……うん。きっと、襲●さん。私のお友達」「あはは。嬉しい。...
私は彼女の魔嬢(まじかるすてっき)

第九話 魔者・前

第九話 魔者・前私は、流れる風の中、お兄さんの背中にひっしと掴まる。少し気恥ずかしいけれども、そうでもしなければ、危ないのだ。なにしろ、今時速八十キロは下らないだろう速さで疾走するバイクの上に身体がある。亡くなるのは、あまりに簡単だ。ただ、...
私は彼女の魔嬢(まじかるすてっき)

第八話 味方

第八話 味方「どうしよう……」「むにゃむにゃ」私は階段の中程で心を抱きしめ、そのまま停まっていた。どうしようもないと、固まって。無垢にも柔らかく眠っている心の姿ばかりが救いだ。そう、私は好きな襲田さんに、攻撃を加えるどころか文句を言うことす...
私は彼女の魔嬢(まじかるすてっき)

番外話二 茉莉のヤンデレ

番外話二 茉莉のヤンデレ生きるというのは、休まらぬことだ。そう、襲田茉莉は考える。真にこの世は忙しない。そうでなくても長々と、星々は廻り、熱を持ち続けている。一体全体さぞ疲れていることだろう、この世の全てが停まってしまえばいいのに、とすら思...
私は彼女の魔嬢(まじかるすてっき)

第七話 笑窪

第七話 笑窪最近あまり彼女が、笑っていなかった。違いはただ、それだけの筈だったのに。「魔物、弱いね!」「強かったら私、戦わないよ」「それもそうかー。痛いことされちゃったら、困るものね」夜。空のあいつらから透過してきた月の光を浴びながら、私は...
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