二次創作小説

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美鈴おかーさん

第二話 代わりじゃないよ

蒼穹に立ち昇った、残滓の煙、白一筋。神社の境内から振り返り見たその景色ばかりが記憶に残る。博麗霊夢はその日、人里にて行われた盛大な葬礼に、深く感じることはなかった。可哀想に、頑張るんだよ、上から投げつけられるそんな言葉を下から聞いて、ただ頷...
美鈴おかーさん

第一話 おかーさん?

布団の代わりに柔らかに繁茂した草。天井代わりに天の川に星々を散らす天上。木の根に横たえた顔の隣で跳ねた、バッタに笑う。これは家なき子の、野宿。けれども、野を家とするのは、別に苦痛ではないと、紅美鈴は思う。「何しろ、昔はこんなのばかりだったか...
美鈴おかーさん

美鈴おかーさん・目次

東方Projectの紅美鈴さんが主役の二次創作小説です。妖怪の彼女が人と妖怪の間を行ったり来たりしながら母のごとくに少女らの心を和ましていく小説となります。日向に安堵する妖怪、闇を知る人の子。白と黒は果たしてどちらに。
それでも私は走る

悲鳴をすら

「……美味しいです」一人蕎麦屋のカウンター席に座して、一口いただいて直ぐにそう零したのは碧い目をした栗毛のウマ娘。主人が少女のためにとせいろ蕎麦たっぷりと盛りに盛ったは十人前。だが、彼女にとってそれは腹八分目に収められる程度でしかないのだか...
霊夢に博麗を継がせたら無視されるようになった

第十九話 私と同じ

博麗霊夢には、親はない。いや、正確には棄てた産みの親に育てた先代の巫女が居る筈なのだが、それらを彼女は親と見做していなかった。顔も名前も知らない覚えていないそんな実父母は勿論のこと、没する前まで確かに衣食住を用意してくれいただろう先代の巫女...
霊夢に博麗を継がせたら無視されるようになった

第十八話 全てを忘れたとしても

「うーん……」本を読むという行為に沈黙が付いて回るのは果たしてどうしてなのか、上白沢慧音はときに考える。そして、きっとそれは読書という行いがそれだけ緻密なものであるためではないかと、今日の彼女は思いついた。その通り、ただ目で文字を拾うだけな...
それでも私は走る

それでも、私は走る

「全治、二ヶ月か……何、してようかな」若葉色の一重の患者着に身を包みながら、少女は先に聞いた医者の言葉を繰り返す。随分と長く気絶していたらしい合間にがっしりと巻かれたギプスを装置で釣り上げられた、そんな身動きろくに取れない大げさな眼前の光景...
霧雨魔梨沙の幻想郷

第四十三話

その実力、まるで人でなしのようであるが、しかしその実霧雨魔梨沙は、魔法使いを気取った、ただの人間の少女である。当然、人であるからには無理はきき辛い。優れた術にて補っているが、それでもベースはあくまで人の子。疲れを感じれば眠るし、手を伸ばした...
霧雨魔梨沙の幻想郷

第四十二話

そのあやかしの魔力は幻想を逸する。広がった白熱は、最早太陽球に届く。立ち昇った力をたちどころに呑み込むに、天空では足りない。故に、死蝶ですら、あまりの力に溺れて消え入った。死を帯びてすら消え入らない精密な偽花の群れに溢れた空には、お化けが這...
霧雨魔梨沙の幻想郷

第四十一話

魂魄集えば、その霊気は冷気を周囲に及ぼし凍えさせる。花吹雪は、その名前のまま鮮やかにも寒く。そんな、あまりに冷たい春の空は、一条の光線にて解けて温まる。辺りは包まれ、余裕はあっとう間に消されていく。いたずらにそれが振り回されないのは、幽かな...
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