茶蕎麦

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マイナスから目指すトップアイドル

第六話 仕方ない

好きという言葉は嘘で、嫌いという思いも間違いで、なら私に正しさなんて一つもない。 嘘つきの自分はきっと天国にはいけないだろう。あの果てしない清涼には至れやしない。 つまり、これから向かうのは地獄なのか。私は痛くて辛いばかりの、どん詰まりに至...
マイナスから目指すトップアイドル

第五話 一人ぼっちは寂しい

田所釉子は、アイドルだった。 それも、ただのアイドルではない。天上には及ばずとも、まずただの花として飾られるばかりの代物ではなかった。 喩えるならばそれは、輝石。可憐を綺羅びやかな明かりの中輝かせて、その多面な美を周囲に振りまく、そんな少女...
マイナスから目指すトップアイドル

第四話 頑張るです

地獄に焦がされ続ける普段から我慢は得意で、身体は役目に則り復元力に富んでいる。 ならば、何本か欠かした歯を食いしばった百合が、痛みに耐えながらベッドの上に固定されたひと月を狂わずに過ごせたのは当然だったかもれない。 だが、普通ならば、ただの...
マイナスから目指すトップアイドル

第三話 負けない

百合は、地獄の蓋である。 つまり地獄の天板であり、皆がそこまで落ち込んでしまないように、踏み敷かれる役割。最低値を超えないようにある、底辺。そんなヒトガタが、百合だった。 だが、ヒトガタであるからには、成長が許される。ならばと焦げ付いた心で...
マイナスから目指すトップアイドル

第二話 あなたのためになるのなら

町田百合は、地獄が溢れぬように取って付けられた蓋である。それが偶に人の形をして産まれているだけ。 彼女はその役割故に何より地獄に灼かれ続けることこそ重要であり、人間としての能力はおまけに近かった。故に、少女の持つ能力は最低限。 しかし、悪に...
マイナスから目指すトップアイドル

第一話 地獄に落ちてしまったとしても

ぎゃあぎゃあとカラスが大いに鳴いた、それは、昏い、昏い一日の終りのことだった。 今より十六年と少し前。町田家に、とある赤子が生まれた。性別は、女である。そして、何より彼女の属性は。 「うあぁ」 「なっ!」 地獄だった。 最初から開いていたそ...
マイナスから目指すトップアイドル

マイナスから目指すトップアイドル・目次

地獄の蓋として生まれた少女。彼女は瞳の奥に地獄を映してしまうために、目を隠して生きています。 ですがそんな彼女、町田百合には夢がありました。それは、トップアイドルになること。 ――悪こそ、この世のあらゆる善の番。
霊夢に博麗を継がせたら無視されるようになった

第十九話 私と同じ

博麗霊夢には、親はない。 いや、正確には棄てた産みの親に育てた先代の巫女が居る筈なのだが、それらを彼女は親と見做していなかった。 顔も名前も知らない覚えていないそんな実父母は勿論のこと、没する前まで確かに衣食住を用意してくれいただろう先代の...
うつくしさ極振りのアイドル生活

去話 終わりの音色

生きるということは、ただ意識があるだけの状態ではないと小さな頃の朝茶子は思っていた。 生は推移であり、変化と反復を交えた動きの総称だと幼き少女は考えていたのである。 つまるところ、朝茶子にとっては世界の多動が生々しいものに映るのだった。太陽...
うつくしさ極振りのアイドル生活

閑話 最強と

〇〇〇〇は目立つことが好きだ。それは、以前までそうあることが通常だったからだったかもしれない。 だが、荷物運びで際立つことに慣れて、そして駆けっこで一番を続けることにも飽いて、やがて彼女は当たり前の勝利をつまらなく思うようになる。 なにせ、...
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