2024-02

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マイナスから目指すトップアイドル

番外話① バレンタインデーそのいち

「ふあぁ……もう甘ったりぃ匂いがする気がしますねぇ……」 二月十四日はバレンタインデーであるという情報くらい、百合だって知っている。 コマーシャルに、誰かの話題、創作の一部。そこら辺が二月のはじめ頃から甘い茶褐色に切り替わっていくのだから、...
マイナスから目指すトップアイドル

第十四話 トップアイドルに、なるですぅ

炎は、燃焼している。罪科を薪として、かけがいのない命だったものを煤として、それでも彼女の内では無常が盛んに。 地獄というのは、本来何より空想であるべき代物である。末期の先の罰なんて、諭しのための道具でしかない方が良かった。こんなの、信賞必罰...
マイナスから目指すトップアイドル

第十三話 これでもぉ

「はぁ……どうしてオレったら、こんなに面倒なことばかりやらされるかねぇ……」 中井裕太は昨今流行りのアイドルマネージャーになって日が浅い男性である。 もともと手足の長さが自慢の彼は男性アイドル志望であったが、事務所に所属し年若くして重く下積...
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第十二話 安心してね

偶に幻想物質ではなく、タンパク質等を主にして創られてしまった地獄の蓋であるところの町田百合。 本来無機質であるべきなのに、熱情によって活動的に動いてしまっている彼女は、存外見目を気にしていた。 まあ、その目を開けばどんな格好をしていようが台...
マイナスから目指すトップアイドル

第十一話 愛さえあれば

遠野咲希は高身長に長い手足が特徴的で、そこに少し肉が付いてきてしまったことを気にする年頃の女の子だった。 そんな、体重計を蛇蝎のごとくに嫌う少女は、しかしトレーニングを欠かすことはない。 「一、二、三、一、二……」 美しく、コンパスのように...
マイナスから目指すトップアイドル

第十話 勘違いヤローども

町田百合は悪辣な視覚情報である。一度奥まで見れば、終わりを知る。最果ての地獄を孕んだ生き物など、蠢くべきですらないかもしれない。 そんなものが眼帯をつけて偶像になりきろうとしているのだ。当然、無理が出るというものである。 「あぐっ!」 地熱...
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第九話 プリティサイズだから

吉野友実という少女は、アイドルになるために生まれてきたような存在である。 見目は当然のように麗しく、運動神経も抜群で体躯はどこまでも柔らかく、目的のためには媚びることすら容易い精神まで持ち合わせていた。 笑顔なんて、意識するまでもなく人生の...
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第八話 格好いいじゃない

与田瑠璃花という元アイドルであるトレーナーにとって、町田百合という少女は不可解そのものだった。 稚児より下手な歩みで、驚くほどに音痴であり、笑顔を作ることすらぎこちない、そんな無才の全体で彼女はトップアイドルに本気で至ろうとしている。 この...
マイナスから目指すトップアイドル

第七話 ありがたくなんて、ない

町田百合は地獄に繋がる目を薄く塞いで生きている、少女である。 彼女の視界は常に薄くベールに覆われているし、もとより良くない視力は世界をそのままには映さない。 汚穢すらも彼女に届くまでには大いに欠けていて。 だからこそ、百合にとって世界は遍く...
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第六話 仕方ない

好きという言葉は嘘で、嫌いという思いも間違いで、なら私に正しさなんて一つもない。 嘘つきの自分はきっと天国にはいけないだろう。あの果てしない清涼には至れやしない。 つまり、これから向かうのは地獄なのか。私は痛くて辛いばかりの、どん詰まりに至...
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