それでも私は走る 不釣り合い 自分の他のウマ娘すら見かけたことのないくらいの田舎、広大な北海道の片隅にてスペシャルウィークという名を掲げる少女は過ごしていた。同じ道内といっても、そこは札幌やら富良野やら有名観光地があるような場所でもない。あるのは、牛と農地と、木々ばかり... 2023.12.07 それでも私は走る
それでも私は走る 貴女と共にある 時は、まだ冬休みも終わっていない一月七日の昼過ぎ。そういえば購買はまだやっていないのだと遅れて気づき、食事を近くのコンビニで買ったパン三つで終えたばかりの若きトレーナーは、しばしトレーナー室(チームを作成していないトレーナー達が共有している... 2023.12.07 それでも私は走る
それでも私は走る 頑張るね 年を越えたばかりの冬の候。吐息の軌跡が白となり、凍える指先が赤くかじかむそんな日。痛いくらいの冬を駆け回るのは、子供だけではなかった。学生であるからには年末年始を遊びに費やす者も多くて正しい。だが、年始めの休暇をかけっこの練習に当てる少女も... 2023.12.06 それでも私は走る
それでも私は走る よろしくね 「ふぅ……」朝、鏡を前に顔を洗う。彼女はあまりこの時間が好きではない。とはいえ、目麗しいウマ娘という以前に年頃の少女。洗顔は念入りであって当然であり、また個人的な理由で《《マスク》》を常につけている彼女にとって不潔は天敵。それこそニキビなん... 2023.12.06 それでも私は走る
それでも私は走る 走るのって ――――は、関東、引いては東京の摩天楼に馴染んだウマ娘である。たとえ旅行で色んなひなびたところへ行ったとしても、その土地土地の面白さより結局は自宅マンション周辺のコンビニやデパート、食事処が纏まった利便性の方を大事にしてしまう。遠くの美味し... 2023.12.05 それでも私は走る
それでも私は走る 一緒に地獄に 「ふぅ……」――――の担当トレーナーである彼は、緊張のあまり細い息を漏らした。だが、それでも全身が強ばるほどに入った力の全ては抜けない。大人の一員となって少し。仲間と一緒に酒を口にすることだって慣れてきた。最近は、一人麦酒を嗜んでいる今を振... 2023.12.05 それでも私は走る
それでも私は走る 分からない サイレンススズカにとって、――――というウマ娘は、正直によく分からない子だった。「ふぅ……」その優しさ故に酷く厳しい指導を行うチームトレーナーの視線から逃れるように、一人ターフを駆け抜けることを試みていると、その少女が独り走っているのが時に... 2023.12.04 それでも私は走る
それでも私は走る 掴む 生きることは、燃やすことである。そして、死に向かうことでもあるだろう。また、生まれてから死ぬまで、その間隙が酷く美しければ誰かの記憶に深々と残ることもあった。それはたとえば活躍した競走馬の魂の形。綺麗に綺麗に彼らの活躍はラッピングされるなど... 2023.12.04 それでも私は走る
それでも私は走る 叫び その日も、空は高かった。綺麗な青が、白すら含まずひたすらに天を作り上げている。それこそ人の手には掴めないとひと目で理解できてしまうくらいには、今日の天蓋は遠く澄んで抜けていたのだ。「ふぅ……」でも、そんな小利口な理解なんてものを嫌い、少女は... 2023.12.03 それでも私は走る
それでも私は走る 雪華のように 少し暗い雰囲気になりもしたが、主にセイウンスカイと仲良くした一日は――――にとって楽しく過ぎた。喫茶店の後は公園に移動して、久方ぶりに芝を楽しんだり、二人で花を愛でる。その際に来年には飛び級してトレセン学園に入るのだと話すニシノフラワーとい... 2023.12.03 それでも私は走る