マイナスから目指すトップアイドル 第二十八話 ハーモニー 片桐朝茶子という少女は人界にあってしまった天国である。そして、町田百合は人界に溢れ出ぬよう地獄を抑える蓋だった。『そういえば結局、あの音楽家さん? あたし達の曲書いてくれなかったねー。どうしてだろ?』「はっ、そりゃ心壊れた後に他人のことなん... 2024.02.29 マイナスから目指すトップアイドル
マイナスから目指すトップアイドル 第二十七話 片桐朝茶子 この世に太陽が一つしかないというのは常識ではあるが、それは果たして何故だろうか。生命が育まれるに丁度いいのがこの奇跡の恒星一強の環境であるが故に、大星は複数に並ばない。だが、並べてそれと喩えてカシマレイコを太陽と呼んでいるばかりのアイドル界... 2024.02.28 マイナスから目指すトップアイドル
マイナスから目指すトップアイドル 第二十六話 地獄じゃない 七坂愛はこれまで姉という人を今ひとつ知らなかった。なにせ、姉だという舞は自分のことをよく見てくれないし、直ぐお父さんお母さんと口喧嘩を始めるし、何よりお家に帰ってくることすら希なのである。また寒そうな服に強い匂いを纏う目つきの悪いお姉ちゃん... 2024.02.28 マイナスから目指すトップアイドル
マイナスから目指すトップアイドル 第二十五話 星は星を知らない さき。それは、町田百合の数少ない友人、遠野咲希のアイドル名である。名称のひらがな二文字で可愛さを全力アピールしているつもりの彼女は、2メートルにすら迫らん程の成長を見せる物理的大型新人。彼女はアイドルって何だっけ、という程凄まじい身体能力を... 2024.02.26 マイナスから目指すトップアイドル
マイナスから目指すトップアイドル 第二十四話 綺麗なものを壊すのが アイドル四天王というものが出来たのは、カシマレイコという天上に付き添うように高度化した少女たちをただのアイドルたちと纏めるのが不可能になった群集の心理に拠って撚られたためとされる。だがそんな緊急退避的な称号が今や四様の篩のよう。彼女らの何れ... 2024.02.26 マイナスから目指すトップアイドル
マイナスから目指すトップアイドル 第二十三話 とても、幸せだ 「♪」目隠し少女が歌った、踊った、微笑んだ。そればかりで華やぐのは、少女の実力が上等に至っているがため。何もかもが見かけばかりのハリボテでもいい筈のアイドルというものの中で、つま先からてっぺんまで基礎から何までしっかりと詰まった希少な本物。... 2024.02.22 マイナスから目指すトップアイドル
マイナスから目指すトップアイドル 番外話⑤ カシマレイコ 遠野幹彦は、カシマレイコを見いだした栄誉からマネージャーという名のままになっている彼女専属プロデューサーである。独立した後、社長業も行うというよく分からないことになっているが、それくらいに幹彦という男はカシマレイコというバケモノアイドルに愛... 2024.02.22 マイナスから目指すトップアイドル
マイナスから目指すトップアイドル 第二十二話 曲に負ける歌なんて 望遠鏡で空を覗いてみたところで神と視線が合わないように、人と神々とはあまりに遠すぎる。だが、アイドルという人界の賑やかしの中にのみ、それは確かに近くあると多くにされて崇められてすらいた。握手なんて以ての外。電子に載っかった顔と美声ばかりを聞... 2024.02.21 マイナスから目指すトップアイドル
マイナスから目指すトップアイドル 第二十一話 独りで唄ってない 実力を天にまで示した。そして、それは網によって地べたに広く拡散されていく。情報化社会においても遍く全てが、とはいかなくてもそれは少女が傑物であると世に知らしめるのには十分なもの。それくらいに、初ライブの映像はしばらく多方面に注目された。ダン... 2024.02.21 マイナスから目指すトップアイドル
マイナスから目指すトップアイドル 第二十話 いいわね はじまりがあれば、終わりがあるのは自然。また、その間隙に全力が賭されていたならば、そう長い間続くものではない。町田百合の記念すべき初ライブは、駅前に熱狂をもたらしながら一時間足らずで彼女のばいばいと共に終わった。虜となった聴衆に背を向け、ツ... 2024.02.19 マイナスから目指すトップアイドル