マイナスから目指すトップアイドル

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マイナスから目指すトップアイドル

第十五話 知らないのですぅ

それは、ただ映るだけで世界を墜とせたというのに、彼女はあまつさえ歌って舞って、終いに笑んだ。やがて世界は、彼女のために凝った。そう、彼女こそとびきりのアイドルという偶像。偶像を計るには、持つ権能を見ればいいのだろうが、生きとし生けるものにそ...
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番外話④ バレンタインデーそのよん

「ふへぇ……意味分かんねぇですぅ……」一日終わり、歩む目隠し少女は懊悩に首を傾げる。毎年周ってくるバレンタインデーというものは、これまで町田百合の心を動かすのに足る一日にはなっていなかった。そう、たとえ自分の作ったケーキを踏みつけられようが...
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番外話③ バレンタインデーそのさん

輝田(きだ)プロモーションに所属するアイドルチーム、トゥインクルチアーズの吉野友実と言えば最近そこそこに知られるようになった存在である。センター、でこそないがチームの中でもアイドルに必要なすべての技術が際立った一人であれば、自ずと目立つ。甘...
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番外話② バレンタインデーそのに

遠野咲希にとって、二月十四日というものは、近頃甘いより苦いイメージが強い。咲希は、食べ物、ひいてはチョコレートが大好きである。花より団子という言葉があるが、花も団子もいらないからチョコを口いっぱいに含みたい、というのが咲希の本音。特に幼き頃...
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番外話① バレンタインデーそのいち

「ふあぁ……もう甘ったりぃ匂いがする気がしますねぇ……」二月十四日はバレンタインデーであるという情報くらい、百合だって知っている。コマーシャルに、誰かの話題、創作の一部。そこら辺が二月のはじめ頃から甘い茶褐色に切り替わっていくのだから、それ...
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第十四話 トップアイドルに、なるですぅ

炎は、燃焼している。罪科を薪として、かけがいのない命だったものを煤として、それでも彼女の内では無常が盛んに。地獄というのは、本来何より空想であるべき代物である。末期の先の罰なんて、諭しのための道具でしかない方が良かった。こんなの、信賞必罰、...
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第十三話 これでもぉ

「はぁ……どうしてオレったら、こんなに面倒なことばかりやらされるかねぇ……」中井裕太は昨今流行りのアイドルマネージャーになって日が浅い男性である。もともと手足の長さが自慢の彼は男性アイドル志望であったが、事務所に所属し年若くして重く下積みを...
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第十二話 安心してね

偶に幻想物質ではなく、タンパク質等を主にして創られてしまった地獄の蓋であるところの町田百合。本来無機質であるべきなのに、熱情によって活動的に動いてしまっている彼女は、存外見目を気にしていた。まあ、その目を開けばどんな格好をしていようが台無し...
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第十一話 愛さえあれば

遠野咲希は高身長に長い手足が特徴的で、そこに少し肉が付いてきてしまったことを気にする年頃の女の子だった。そんな、体重計を蛇蝎のごとくに嫌う少女は、しかしトレーニングを欠かすことはない。「一、二、三、一、二……」美しく、コンパスのように世界を...
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第十話 勘違いヤローども

町田百合は悪辣な視覚情報である。一度奥まで見れば、終わりを知る。最果ての地獄を孕んだ生き物など、蠢くべきですらないかもしれない。そんなものが眼帯をつけて偶像になりきろうとしているのだ。当然、無理が出るというものである。「あぐっ!」地熱に由来...
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