マイナスから目指すトップアイドル

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マイナスから目指すトップアイドル

第三十三話 貴女と私は違うから

人影数多ありながらもすれ違うばかりの、一面。 地べたを通う誰もが互いに意識していないかと思えば避け合うことばかりは皆上手であるから不思議だ。 せかせかした足の動きに、思わずつられそうになる心地を、彼女はスモークガラスの奥からじっと堪える。自...
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番外話⑥ 恋模様はこうやって

抜けるような蒼穹。自然こそがこの世の美しさのベーシック。だがある日、それはナンバーツーに堕した。 「よくないよねー」 世界に天井があることがつまらないというのは、一般人杉山ゆずだからこそ考えることだろうか。 いや、それとも彼女が天を射抜かん...
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第三十二話 ジゴクノカマノフタ

町田百合というのは最低値、いやそれこそマイナスから開始した小さき命である。 実親ならまだしも余所人が愛するには些か地獄的に過ぎていた子。 踏みしだかれるべき最低値、哀れまれるべき地獄の蓋はだがしかし。 『トップアイドルになるですぅ!』 地獄...
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第三十一話 マイナス

百合は、ひゅ、と緊張に喉からよく分からない音が出たことを感じた。 それが唐突に乱入し楽曲を中断させた招かれざる客に向けられた、数多の視線の物理的に迫る程の印象の圧力によるものであるのは、語るまでもない。 沈黙の中知らずぎゅ、っと握ったマイク...
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第三十話 逃げ出してはいけない

ドームのゲスト室から望めるのは、空きを埋め尽くす夥しいまでの人の数。 五万を超える人波がうねるように一人を求めるその様は、まるで蜘蛛の糸のお話に出てくる地獄をすら想起できる。 そして、実際彼らはアイドル鹿子という少女一人に天国を覚えている者...
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第二十九話 悪役令嬢

譜を音にする。 それだけの慣れ親しんだ行為がこんなに緊張するとは思わなかったと、オーキッドプロダクションの若き編曲家、類村慎樹は三つ色で染めた短髪を指先で掻きながらそう述べた。 素直に音楽に仕立て上げる、それだけの本来そう過つことのないはず...
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第二十八話 ハーモニー

片桐朝茶子という少女は人界にあってしまった天国である。 そして、町田百合は人界に溢れ出ぬよう地獄を抑える蓋だった。 『そういえば結局、あの音楽家さん? あたし達の曲書いてくれなかったねー。どうしてだろ?』 「はっ、そりゃ心壊れた後に他人のこ...
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第二十七話 片桐朝茶子

この世に太陽が一つしかないというのは常識ではあるが、それは果たして何故だろうか。 生命が育まれるに丁度いいのがこの奇跡の恒星一強の環境であるが故に、大星は複数に並ばない。 だが、並べてそれと喩えてカシマレイコを太陽と呼んでいるばかりのアイド...
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第二十六話 地獄じゃない

七坂愛はこれまで姉という人を今ひとつ知らなかった。 なにせ、姉だという舞は自分のことをよく見てくれないし、直ぐお父さんお母さんと口喧嘩を始めるし、何よりお家に帰ってくることすら希なのである。 また寒そうな服に強い匂いを纏う目つきの悪いお姉ち...
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第二十五話 星は星を知らない

さき。それは、町田百合の数少ない友人、遠野咲希のアイドル名である。 名称のひらがな二文字で可愛さを全力アピールしているつもりの彼女は、2メートルにすら迫らん程の成長を見せる物理的大型新人。 彼女はアイドルって何だっけ、という程凄まじい身体能...
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