オリジナル小説

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私は彼女の魔嬢(まじかるすてっき)

第十二話 寂寥

第十二話 寂寥 別離は、どうしようもないことだ。足掻いて足掻いて、無理なもの。寿命も機会も、全ては時間に必ず喪われる。だから、終わっている彼女を生き永らえさせたのは、間違いであるのだけれど、それで良かったとも思う。誤って、苦しくても生きたい...
私は彼女の魔嬢(まじかるすてっき)

第十一話 赫怒

第十一話 赫怒 私はその時、生まれて初めて、星を見た。抱き締めたくなるくらいに小さく、儚い、しかし巨いなる全て。青黒いキャンバスに眩い点描。夜空に光る、数多。更に、何よりも綺麗な一等星を。不可思議なほど近くに見えたその閃光は、とても美しく輝...
私は彼女の魔嬢(まじかるすてっき)

番外話三 龍夫の死闘

番外話三 龍夫の死闘 大須龍夫は、人として外れている大須家の中で、唯一人として優れた人間だった。 往々にして理解できないものに通じている家族。そのなかで龍夫だけは、人に通じていたのである。 しかし、龍夫は抜群で、度が過ぎた。人知れずよく分か...
私は彼女の魔嬢(まじかるすてっき)

第十話 魔者・後

第十話 魔者・後 「は、何言ってるか解んないが、どうにも既知のご様子だ。なら、こいつは……元人間の、さしずめ魔者といったところか。俺の記憶にはないが、滴の知り合いだったりするのか?」 「……うん。きっと、襲●さん。私のお友達」 「あはは。嬉...
私は彼女の魔嬢(まじかるすてっき)

第九話 魔者・前

第九話 魔者・前 私は、流れる風の中、お兄さんの背中にひっしと掴まる。少し気恥ずかしいけれども、そうでもしなければ、危ないのだ。 なにしろ、今時速八十キロは下らないだろう速さで疾走するバイクの上に身体がある。亡くなるのは、あまりに簡単だ。た...
私は彼女の魔嬢(まじかるすてっき)

第八話 味方

第八話 味方 「どうしよう……」 「むにゃむにゃ」 私は階段の中程で心を抱きしめ、そのまま停まっていた。どうしようもないと、固まって。無垢にも柔らかく眠っている心の姿ばかりが救いだ。 そう、私は好きな襲田さんに、攻撃を加えるどころか文句を言...
私は彼女の魔嬢(まじかるすてっき)

番外話二 茉莉のヤンデレ

番外話二 茉莉のヤンデレ 生きるというのは、休まらぬことだ。そう、襲田茉莉は考える。真にこの世は忙しない。そうでなくても長々と、星々は廻り、熱を持ち続けている。一体全体さぞ疲れていることだろう、この世の全てが停まってしまえばいいのに、とすら...
私は彼女の魔嬢(まじかるすてっき)

第七話 笑窪

第七話 笑窪 最近あまり彼女が、笑っていなかった。違いはただ、それだけの筈だったのに。 「魔物、弱いね!」 「強かったら私、戦わないよ」 「それもそうかー。痛いことされちゃったら、困るものね」 夜。空のあいつらから透過してきた月の光を浴びな...
私は彼女の魔嬢(まじかるすてっき)

第六話 家族

第六話 家族 私の家は、他と違う。それは、家族がおかしいというばかりでない。たとえるならばそこは世界の傷口付近。大幅に狂った流れの中にある。 だから、それが極まれば、時に死んだはずの母が居ることだってあった。台所の中配膳の手を休め、今もこっ...
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第五話 白杖

第五話 白杖 魔法、とは何だろうと思う。このクラスは進みが良いからと随分と先んじて三平方の定理を教えて下さっている先生の言葉の大半を無視して、授業中に私はそんな余計なことを考える。 字面から読み解くと、簡単だ。悪なる迷わしの、法則。今は夢や...
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