口が裂けてもいえないことば

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口が裂けてもいえないことば

第七話 ばれちゃった

夕焼けに独りぼっちの影法師長く、地べたをなめる。愉快げに蠢くその黒は、そのうちに街灯に紛れて消えるだろう。だが、黄昏。色の階調の表現だけで手元のパレットを使い切ってしまいそうな、そんな空の多色の揺らめきの中、少女は微笑む。まるで嘘のような、...
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第六話 零点満点

学生が学ぶのは正しいことである。そして、少年少女が愛されることは当然至極、望ましい。ならば、足立華子という少女は優等である。彼女は小学校を学ぶだけの場所として通い続け、今はなき兄の分も過保護にも両親に愛された。しかし、正解ばかりを続けるのが...
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第五話 ちょんぎる

「清太君、次はこっちー。この、あばれるもんがーを取ってみない?」「もんがー? いや、うん。このぬいぐるみが何かかはよく分からないけれど、美袋が欲しいのっていうのは分かったよ。……よし」騒々しい機械がクレジットを求めて光り輝く、そんな遊び場。...
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第四話 後悔

「はぁ……今日も、僕は僕だな……」そんな言葉は吐息とともに、眼前の鏡を曇らせた。鏡面に映ったくせ毛の少年は、ま白い顔を憂いに染めたままに己を見つめている。過去と今が本当に繋がっているのか、そう不安になるときが|明津《あかつ》|清太《せいた》...
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第三話 信じる

「止めなさい」美袋と七恵。まるで友達が友達に手を差し伸ばしたかのように見えて、その実女の子が化け物崩れに拐かされている二人の姿。見ていられない、そういう思いをマスク越しに表して、ハナコは七恵が美袋に手をかけるのを止めた。「ふふふ、ハナコちゃ...
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第二話 異世界

世界が一つであると決めたものは、何か。おおよそ、それは焦点がひとつどころにしか合わない人間の在り来りから来たのだろう。そう、ぼやけた視界の中で少女は思った。「だから、私とは合わないんだ」呟きながら喉元のチョーカーを弄る少女、足立|華子《かこ...
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第一話 雲天

吉田|美袋《みなぎ》にとって、この世は努めなければ綺麗に見えないものである。そして、彼女にとって頑張るのなどわけないこと。嫌いからは目を背けて、好きには目を瞠る。見て見ぬ振りをすることで、大凡美袋の世界は美しかった。くすんでいたって、光満ち...
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プロローグ ピリオド

「そういう、こと」涙の代わりに微かな頬を伝って落ちる、それはまるで紅玉の軌跡。そんな綺麗の滑りが、悪意の洞から溢れ出たものだなんて、とても思えない。それくらい、彼女の血は純だった。いや、おどろおどろしさ、というものが五臓六腑にまで行き渡って...
口が裂けてもいえないことば

【完結済み】 口が裂けてもいえないことば・目次

人を信じる人に、信じない人。そのスキマに怪人が発生する。懊悩する口裂け女の花子さん、誕生する切り裂きジャックに、踊る赤マント。彼らが傷つけあいやがてたどり着いた結論は、果たして。
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