口が裂けてもいえないことば

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口が裂けてもいえないことば

後書き ハッピーエンド

ピリオドを決めつけられた、暗褐色の世界。ゴミ捨て場とはそういうもので、私はもう殆どこれに等しい。終わっていて、もう直ぐに消え去る。死とはそんなものであり、こんなものばかりを私を好んでくれたもの達に与え続けてきたことは慚愧に堪えないことだ。こ...
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蛇足 牛の首

さて、以降は蛇足でつまりこれから述べる【私】とは何かという話に意味はない。そもそもアイアムアイに自信がなければ【私】と世界にはそれほど差異がないといったのは正直なところ。だが【私】こと|千里件《せんりくだん》はそもそも未来を知りこの世を語る...
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エピローグ 口が裂けてもいえないことば

「が、あああぁああっ!」「あれ、うるさいよ?」静寂は切創により死ぬ。少女の開いた口からおおよそ人の発するものではないような悲鳴が轟く中、罪悪滔天。切り裂きジャックのお姉さんは、慈悲もなくただ当たり前のように両足を失った華子の口元へ小ぶりのハ...
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第十四話 怖い話

ゴミ捨て場にて亡くなった命の一つに、足立勇二という青年がいた。彼は花子の友達、足立華子の兄である。普通、一般の男子であった勇二は一年以上前にこの世のあり得ざる者共が忘れさられて消える前のゆりかごにまで迷い込んだ。要は怪人やお化けというゴミ共...
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第十三話 この物語はフィクションであり、実在の人物や団体とは一切関係ありません

高橋七恵は、赤マントに見出された歪みである。おぞましき愛の赤に染められて人でなしになってしまった、最早心が無機物に近い噂の乙女だ。「くっつかないわ」そして、その無感動な心は身体も同じく血の通わぬものにさせた。硬く、脆く、それこそ硝子のような...
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第十二話 真っ二つ

物語るばかりの道化が踊った黄昏時に、吉田美袋という少女は死んだ。彼女はやがて嘘みたいに残虐な切り裂きジャックと成り果てる。そして、明津清太という人間はそもそも嘘だった。薄っぺらの設定、人でなしがこの世に貼り付けた物語は暴かれ赤マントという怪...
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第十一話 笑み

少女の日暮れにブザーは鳴らない。むしろ、闇こそが価値で、見えないことにこそ意味がある。そう、足立華子には、よく分からないものこそその奥に何かがあるかと思えて願わしいものだった。だからこそ、異世界とすら言えるくらいの違った魔物の世界、ゴミ捨て...
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第十話 青年の死/赤マントの登場

血はぽたりぽたりと垂れ落ちる。あまねく全ては重力に頭を垂れるものとはいえ、それは酷く粘って抵抗し、ようやく肉からはがれ落ちるものだった。終わった一般家庭の一つ屋根の下、男の子を女の子が刺し貫く、そんな非情が夜に溶けていく。怪人が人を殺めるな...
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第九話 禁句

喜悦に富んだ人生などそうはない。或いは空をも飛べずに泥を味わい、やがて己の不幸を感じなくなるまでが普遍であるかも知れなかった。こと明津清太は、空を飛ぶトクベツ達に地べたを這いずる自分の足では追いつけないことに未だ慣れない不幸な青年である。今...
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第八話 手を握る

吉田美袋が物心ついてからはじめて切ったものは、折り紙だった。赤い紙をぶきっちょに真っ二つ。切れ味の悪いハサミを右に左とさせながら切り裂いたそれの出来上がりは見事に歪んでいた。これは先に保育園で先生が行っていたほど綺麗な切断面ではない。でも、...
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