霧雨魔梨沙の幻想郷

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霧雨魔梨沙の幻想郷

第三十三話

蓬莱山輝夜にとって、この永い夜は非常に刺激的だった。それこそ、永遠の魔法をかけて停めてしまいたいくらいに、素晴らしいものと思えてならないものだ。 この夜の始まった頃はそれほどの感慨を抱いていなかったと輝夜は記憶している。来るかもしれない妖怪...
霧雨魔梨沙の幻想郷

第三十二話

永遠亭に侵入した魔梨沙は、沢山の妖精たちの歓迎を受け入れつつ、撃つ星弾のように真っ直ぐ先へと急いだ。 そして、魔梨沙が今日のために空間が改造されていたのか長く一直線な廊下を進んでくと、正面を襖扉が邪魔をしたために、そこを開けて先へと進もうと...
霧雨魔梨沙の幻想郷

第三十一話

僅かに欠けているとはいえ明るい満月によって、互いの表情すらよく見える中で、蓬莱山輝夜と霧雨魔梨沙は自前の紅の瞳を持って見つめ合う。 魔法使いのイメージそのままの魔梨沙の姿を、千年以上迷いの竹林から外に出ていない輝夜はその統一感から地上の民の...
霧雨魔梨沙の幻想郷

第三十話

蓬莱人である藤原妹紅は、老いる事も死ぬ事もない程度の能力を持つ存在である。 彼女も人の枠にあるため肉体を持っているが、それが滅びようともその生に関係はなく、蓬莱の薬を飲んで本体と成った魂によって幾らでも肉体を再構築させられるため、結果的に不...
霧雨魔梨沙の幻想郷

第二十九話

迷いの竹林の中、永遠亭の近くを棲家とする妖怪兎達は、大いに騒いでいた。 何時も飛んで跳ねて、時に餅をついたりする、そんな暢気な妖獣たちはそのよく伸びた感覚器によって、強力な妖怪と人間、そして恐ろしい幽霊と半分人間の存在をいち早く知り、怯えた...
霧雨魔梨沙の幻想郷

第二十八話

上白沢慧音は、今回の異変に対して、過分とすらいえるほどの対策を講じている。 不完全な月の下、不完全な力のままに、しかし慧音は人里を守るためにと奔走した。今回の異変の恐ろしさを主要な里の人間に説き、彼女は一夜だけならと人里を【なかったこと】に...
霧雨魔梨沙の幻想郷

第二十七話

あたし、霧雨魔梨沙は、星が好きである。まず、大本の距離や大きさは違えども、夜を明るくしすぎないくらいに天を賑やかせているその有り様が素敵だ。 色とりどりに、瞬いたりして、決して大きくないその存在は自己を主張する。それが集まる天の川なんて、つ...
霧雨魔梨沙の幻想郷

第二十六話

照りつける強い陽光に、湿度の高い空気が相まって、止まらぬ汗は長々と垂れて頬を伝う。幾ら帽子を被って日差しを避けていても、熱された地面と近くあればその身の温度は上がっていく。 これはたまらないと、星柄の綺麗なガラス製で、しかし保温保冷機能は外...
霧雨魔梨沙の幻想郷

第二十五話

霧雨魔梨沙の家は、純和風の造りである。人里の大工に作らせたのだから、そうなるのも当たり前なのかもしれないが、和風建築に魔女が住むというのはミスマッチではあった。 一人で住むのだからと、二階建てにすることにすら難色を示した魔梨沙だったが、それ...
霧雨魔梨沙の幻想郷

第二十四話

鬼退治を終え、スキマから出てきた魔梨沙にかけられたのは、沢山の叱咤とおまけばかりの回復魔法だった。 特に霊夢からの文句は止まらない。それは、最初はダメな部分を挙げていた魅魔も、取り成すよう動かなければならないくらいのものだった。 さあ、そろ...
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