二次創作小説

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霊夢に博麗を継がせたら無視されるようになった

第十八話 全てを忘れたとしても

「うーん……」本を読むという行為に沈黙が付いて回るのは果たしてどうしてなのか、上白沢慧音はときに考える。そして、きっとそれは読書という行いがそれだけ緻密なものであるためではないかと、今日の彼女は思いついた。その通り、ただ目で文字を拾うだけな...
それでも私は走る

それでも、私は走る

「全治、二ヶ月か……何、してようかな」若葉色の一重の患者着に身を包みながら、少女は先に聞いた医者の言葉を繰り返す。随分と長く気絶していたらしい合間にがっしりと巻かれたギプスを装置で釣り上げられた、そんな身動きろくに取れない大げさな眼前の光景...
霧雨魔梨沙の幻想郷

第四十三話

その実力、まるで人でなしのようであるが、しかしその実霧雨魔梨沙は、魔法使いを気取った、ただの人間の少女である。当然、人であるからには無理はきき辛い。優れた術にて補っているが、それでもベースはあくまで人の子。疲れを感じれば眠るし、手を伸ばした...
霧雨魔梨沙の幻想郷

第四十二話

そのあやかしの魔力は幻想を逸する。広がった白熱は、最早太陽球に届く。立ち昇った力をたちどころに呑み込むに、天空では足りない。故に、死蝶ですら、あまりの力に溺れて消え入った。死を帯びてすら消え入らない精密な偽花の群れに溢れた空には、お化けが這...
霧雨魔梨沙の幻想郷

第四十一話

魂魄集えば、その霊気は冷気を周囲に及ぼし凍えさせる。花吹雪は、その名前のまま鮮やかにも寒く。そんな、あまりに冷たい春の空は、一条の光線にて解けて温まる。辺りは包まれ、余裕はあっとう間に消されていく。いたずらにそれが振り回されないのは、幽かな...
霧雨魔梨沙の幻想郷

第四十話

花が開いて薫り飛ばせば、人に霊だけではなく、虫達も大わらわに飛び回るもの。彼らはぶんぶんと、自分達を上回る数の多色に目を奪われながら花弁の間を行ったり来たりして蜜を頂く。そして、その身にどっしりと様々な花粉を纏った状態で、一輪から飛び立とう...
霧雨魔梨沙の幻想郷

第三十九話

博麗霊夢は自分の持つ能力のことをよく、空を飛ぶ能力ね、と口にしている。それは何処までも正しい事実であるが、それだけでなく、彼女は博麗の巫女としての能力も確りと修めていた。空を飛んで陰陽玉を操り、御札と針を持ってして弾幕戦を行う。脇が甘いとこ...
霧雨魔梨沙の幻想郷

第三十八話

魔梨沙が夢幻館から戻り、自宅で傷ついた身体を薬草と休息で回復させていた、その頃。幻想郷の空遥か高く。何故か一部破られたまま未だに直されていない幽明結界の前にて、多量の幽霊が溢れていた。その中心にて、踊っている少女が一人。彼女の着物の薄青は風...
霧雨魔梨沙の幻想郷

第三十七話

「花に三春の約ありというけれど……夏秋冬の分まで咲くのは行き過ぎだわー。やっぱりコレは、幽香の仕業かしら」春が来て、幻想郷は正に花盛り。しかしそれも随分と過剰過ぎるものがあった。桜が咲くのはいいだろう。満開のそれらは、風に揺られ宙にて春色を...
霧雨魔梨沙の幻想郷

第三十六話

夜闇の中に星々は輝く。吸い込まれるように暗い背景は、遠い星の光を際立たせて、疎らな美しい点描を生む。天球はまるで光と闇が、夜空のキャンバスの中で彩りを競い合っているかのようだ。しかし、実際は数えきれないほどの星々の輝きが闇に食まれていて、人...
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