茶蕎麦

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口が裂けてもいえないことば

第六話 零点満点

学生が学ぶのは正しいことである。そして、少年少女が愛されることは当然至極、望ましい。 ならば、足立華子という少女は優等である。彼女は小学校を学ぶだけの場所として通い続け、今はなき兄の分も過保護にも両親に愛された。 しかし、正解ばかりを続ける...
口が裂けてもいえないことば

第五話 ちょんぎる

「清太君、次はこっちー。この、あばれるもんがーを取ってみない?」 「もんがー? いや、うん。このぬいぐるみが何かかはよく分からないけれど、美袋が欲しいのっていうのは分かったよ。……よし」 騒々しい機械がクレジットを求めて光り輝く、そんな遊び...
口が裂けてもいえないことば

第四話 後悔

「はぁ……今日も、僕は僕だな……」 そんな言葉は吐息とともに、眼前の鏡を曇らせた。鏡面に映ったくせ毛の少年は、ま白い顔を憂いに染めたままに己を見つめている。 過去と今が本当に繋がっているのか、そう不安になるときが|明津《あかつ》|清太《せい...
口が裂けてもいえないことば

第三話 信じる

「止めなさい」 美袋と七恵。まるで友達が友達に手を差し伸ばしたかのように見えて、その実女の子が化け物崩れに拐かされている二人の姿。 見ていられない、そういう思いをマスク越しに表して、ハナコは七恵が美袋に手をかけるのを止めた。 「ふふふ、ハナ...
口が裂けてもいえないことば

第二話 異世界

世界が一つであると決めたものは、何か。おおよそ、それは焦点がひとつどころにしか合わない人間の在り来りから来たのだろう。 そう、ぼやけた視界の中で少女は思った。 「だから、私とは合わないんだ」 呟きながら喉元のチョーカーを弄る少女、足立|華子...
口が裂けてもいえないことば

第一話 雲天

吉田|美袋《みなぎ》にとって、この世は努めなければ綺麗に見えないものである。 そして、彼女にとって頑張るのなどわけないこと。嫌いからは目を背けて、好きには目を瞠る。見て見ぬ振りをすることで、大凡美袋の世界は美しかった。 くすんでいたって、光...
口が裂けてもいえないことば

プロローグ ピリオド

「そういう、こと」 涙の代わりに微かな頬を伝って落ちる、それはまるで紅玉の軌跡。 そんな綺麗の滑りが、悪意の洞から溢れ出たものだなんて、とても思えない。それくらい、彼女の血は純だった。 いや、おどろおどろしさ、というものが五臓六腑にまで行き...
口が裂けてもいえないことば

【完結済み】 口が裂けてもいえないことば・目次

人を信じる人に、信じない人。そのスキマに怪人が発生する。 懊悩する口裂け女の花子さん、誕生する切り裂きジャックに、踊る赤マント。 彼らが傷つけあいやがてたどり着いた結論は、果たして。
口が裂けてもいえないこと

番外話その三 メリーバッドエンド

合わないものは、虐められる。往々にして間違っている者は、正しさに痛めつけられるのだった。 「汚え」 学校に行くことで、初めて七恵は自分が汚いことを知る。だが、それからの脱却方法など分からない。親に聞いても、そんな格好で学校に行ったの、馬鹿じ...
口が裂けてもいえないこと

番外話その二 七恵の不思議②

将来的に赤マントに口裂け女の少女、ハナコという怪談を生かすためのストーリーテラーとして被害者を知り適正があるからと選ばれて。そして、悪意の全てを平気で直視し語れるように赤く染められてしまう七恵。 しかしその前、中学二年の時分は当然の様にそん...
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