霊夢に博麗を継がせたら無視されるようになった

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霊夢に博麗を継がせたら無視されるようになった

第二十九話 形だけ

空をふわりふわりの隣で、地べたを一歩一歩。達者な足取りは、しかし永遠に続くものではない。とはいえ、何だか懐かしくすら思える道のりを踏破するのが面白く、上白沢慧音は気づかず汗を額から垂らして石の階段を登り続けていた。「っと」「そういえばけーね...
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第二十八話 貴女の友達

魔たるものは、浮き世と離れているのが当然なのか。ドレスとマント。白と赤。両の中間といったような衣類を纏った天上の造作の女性がその場に浮かんで落ちない。当たり前の重力の遮断。彼女の威を前に、あらゆる力の殆どは無意味なのだろう。思わず頭を垂れて...
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第二十七話 私に降って

人はかすがいを増やすことで安堵する生き物である。友達家族に、上司に部下に好きな相手に嫌いな相手。または先生など。そのような比較対象を近場に置くことで確かに地に足を付けて歩めるのが人間という存在。生半可に切ったところで付いてくる、ありとあらゆ...
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第二十六話 消えずに燃えて

歴史とは足跡であり、それを失くした者に信頼などそう得られるものではない。そんなのは、上白沢慧音は新しく歴史を始めてからこの方ずっと痛感していたことだ。だからこそ、これからを歩み続けなければならないのだけれども、彼女は凍える今夜を人知れず逃げ...
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第二十五話 貴女のために

妖怪とは、陰陽思想で言うところの陰である。そして、陽の存在に人間を当てはめるとするならば、幻想郷は果たして外の世界よりも明らかにくっきりと影深い地であるのかもしれなかった。傷病老死、愛別離苦、怨憎会苦、求不得苦、五蘊盛苦。四苦八苦に塗れた人...
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第二十四話 幻想にもあり得ては

竹林の迷いは永遠へと繋がる。露わになったのはそんな詩歌のような幻想の体現。迷いの竹林の中に佇む永遠亭は古式ゆかしい和風建築の趣であるが、一体それが何時何処の流行りのものであったのかは判然としない。よくよく見れば灼けず錆びずにその材の真新しさ...
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第二十三話 知識のために

先生。それはここ幻想郷の人里において小さな寺子屋などを運営する教師達の呼称としてよく用いられているものだ。そして、この頃新たに先生と呼ばれるようになったのは、稗田の家お抱えの賢者とされる上白沢慧音。里の中程に新設された寺子屋にて彼女は主に社...
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第二十二話 私は変わりたい

アリス・マーガトロイドは魔界生まれの少女である。そのため生まれつき魔法使いである彼女には、本来衣食住に対する意識は希薄であっても良い筈だった。だが、神綺という魔界の神を手本にした彼女曰く子供達同士の相互扶助により大いに学んだアリスは心に贅を...
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第二十一話 運命は何一つ

前衛的を通り越した狂的。赤の強弱だけでどうして美観を創れたのか見るものが見たら唸ること間違い無しの紅魔館。今日も今日とて湖の霧に包まれた館の底。地下を居住地として構え、むしろ館をただの日光を遮る蓋と捉えている出不精の魔女は手近に居た悪魔にこ...
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第二十話 あんたはあんた

「はっ、今日も生きるには丁度いい天気だっ」独り言つ、晴天に白を混じえた黒き一線。逃げゆく金の長髪を魔女帽で押さえながら昼に忘れた闇夜を空に描くように飛翔しているのは、魔法使いの少女霧雨魔理沙だった。彼女は霧雨店のお嬢様を辞めて久しく、この方...
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