霊夢に博麗を継がせたら無視されるようになった

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霊夢に博麗を継がせたら無視されるようになった

第二十五話 貴女のために

妖怪とは、陰陽思想で言うところの陰である。 そして、陽の存在に人間を当てはめるとするならば、幻想郷は果たして外の世界よりも明らかにくっきりと影深い地であるのかもしれなかった。 傷病老死、愛別離苦、怨憎会苦、求不得苦、五蘊盛苦。 四苦八苦に塗...
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第二十四話 幻想にもあり得ては

竹林の迷いは永遠へと繋がる。露わになったのはそんな詩歌のような幻想の体現。 迷いの竹林の中に佇む永遠亭は古式ゆかしい和風建築の趣であるが、一体それが何時何処の流行りのものであったのかは判然としない。 よくよく見れば灼けず錆びずにその材の真新...
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第二十三話 知識のために

先生。 それはここ幻想郷の人里において小さな寺子屋などを運営する教師達の呼称としてよく用いられているものだ。 そして、この頃新たに先生と呼ばれるようになったのは、稗田の家お抱えの賢者とされる上白沢慧音。 里の中程に新設された寺子屋にて彼女は...
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第二十二話 私は変わりたい

アリス・マーガトロイドは魔界生まれの少女である。 そのため生まれつき魔法使いである彼女には、本来衣食住に対する意識は希薄であっても良い筈だった。 だが、神綺という魔界の神を手本にした彼女曰く子供達同士の相互扶助により大いに学んだアリスは心に...
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第二十一話 運命は何一つ

前衛的を通り越した狂的。赤の強弱だけでどうして美観を創れたのか見るものが見たら唸ること間違い無しの紅魔館。 今日も今日とて湖の霧に包まれた館の底。地下を居住地として構え、むしろ館をただの日光を遮る蓋と捉えている出不精の魔女は手近に居た悪魔に...
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第二十話 あんたはあんた

「はっ、今日も生きるには丁度いい天気だっ」 独り言つ、晴天に白を混じえた黒き一線。 逃げゆく金の長髪を魔女帽で押さえながら昼に忘れた闇夜を空に描くように飛翔しているのは、魔法使いの少女霧雨魔理沙だった。 彼女は霧雨店のお嬢様を辞めて久しく、...
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第十九話 私と同じ

博麗霊夢には、親はない。 いや、正確には棄てた産みの親に育てた先代の巫女が居る筈なのだが、それらを彼女は親と見做していなかった。 顔も名前も知らない覚えていないそんな実父母は勿論のこと、没する前まで確かに衣食住を用意してくれいただろう先代の...
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第十八話 全てを忘れたとしても

「うーん……」 本を読むという行為に沈黙が付いて回るのは果たしてどうしてなのか、上白沢慧音はときに考える。 そして、きっとそれは読書という行いがそれだけ緻密なものであるためではないかと、今日の彼女は思いついた。 その通り、ただ目で文字を拾う...
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第十七話 私に会いに来てくれたら

「ん……」 「よし、よし」 母娘の関わりは別に、静謐でなくてもいい。 柔らかな触れ合いに、元気に怒りを向け合うことだって自然なこと。 だから、今の私達はきっと間違っているのだろうなと、上白沢慧音は思っていた。 夜のさざめきに、言葉にならない...
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第十六話 貴女を決して独りには

藤原妹紅は、不老不死の人間である。 そして、彼女は純粋な人間として蓬莱の薬を飲んで蓬莱人となったただ唯一の存在だった。 それは、同じ蓬莱人である蓬莱山輝夜や八意永琳らとも並べられない孤独。 穢れの少ない生を送る月の民と違い人間は、端から長命...
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