口が裂けてもいえないこと

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口が裂けてもいえないこと

番外話その三 メリーバッドエンド

合わないものは、虐められる。往々にして間違っている者は、正しさに痛めつけられるのだった。 「汚え」 学校に行くことで、初めて七恵は自分が汚いことを知る。だが、それからの脱却方法など分からない。親に聞いても、そんな格好で学校に行ったの、馬鹿じ...
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番外話その二 七恵の不思議②

将来的に赤マントに口裂け女の少女、ハナコという怪談を生かすためのストーリーテラーとして被害者を知り適正があるからと選ばれて。そして、悪意の全てを平気で直視し語れるように赤く染められてしまう七恵。 しかしその前、中学二年の時分は当然の様にそん...
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番外話その一 七恵の七不思議①

それは幾年かの昔。普通と不通は、少し前に並んでいた。 そう。中学生活も半分を過ぎたそんな最中、四つのクラスのお隣さんとして、足立勇二と高橋七恵は交わらずに暮らしていたのだ。 方や愛を知って、隣人と語り。方や愛を知らずに、隣人を騙り。沢山の中...
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最終話 口が裂けてもいえないこと

最終話 口が裂けてもいえないこと 「……それで、彼は殺されちゃったの」 「お姉さん、それマジな話?」 「うふふ。マジ、よ」 「こえー」 「……いやだ」 青く、透明な秋空に朱が混じり始めたそんな時間。人気に溢れた街の中、公園内にてちらほら解散...
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第九話 花子

第九話 花子 月は惑わず空にある。仰げば確認出来るその事実は、誰に定められたのだろう。過去から続く法則や、森羅万象による奇跡か、はたまたカミサマか。しかし、それはこの世界の決め事ではなかった。 不必要のみを移した写本の如き別世界に倍星など存...
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第八話 以上

第八話 以上 七恵は目眩の極大を味わった。世界が裏返る、そんなどうしようもなく覚束ない感覚の中で、彼女は必死に何かを掴む。その何かは誰かの悲鳴だった。掌に響くそれを掴みきることが出来ずに、サイクルジャージ姿の少女はまた自分を失う。 触れよう...
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第七話 普通

第七話 普通 赤い怪人の、滴っているような、崩れ落ちているような、そんな言の端が特異に聞こえる悪意に満ちたメッセージを受けた二人の間には、しばし沈黙が降りる。この不通は不信によるもの。口裂け女を信じるのは正しいのか、という自問に勇二は答えを...
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第六話 華子

第六話 華子 じゃらりという鎖の音で、少女は目を覚ました。目を開けて、まず始めたのは頬の痛みを思い出すこと。手を伸ばしてつい撫で擦ってしまった左のほっぺたは赤を超えて青黒く腫れている。思わず、触れてしまった小さな指先は、頬に走った激しい痛み...
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第五話 異常

第五話 異常 七恵には居場所がない。それは、両親の不仲だとか、学校内で虐めを受けた経験だとかそういった単純明快な原因に依るものではなく、本当はただ単に彼女が人と合わすということが出来ないためだった。 可能であるのならばしている。それが出来な...
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第四話 高子

第四話 高子 「ええと、次はこっちかな。……うん。きっと、向こうだよ」 「また曲がるのか……随分と、ここいらは入り組んでるんだな」 誰よりも速く駆けられる人が、鈍い他人と歩調を合わせるということはどういうことか。ゆっくりと、円かに二人は歩い...
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